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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のtubameのレビュー・感想・評価

3.2
鉄の女と呼ばれたイギリスの女性首相マーガレット・サッチャー。認知症の現在から振り返る形で半生を描く物語。


本作の見所は圧倒的な存在感のマーガレットを作り上げたメリル・ストリープの演技力、それに尽きる。特に晩年の生々しい老いた姿を演じきれるのは彼女をおいて他にはいないように思う。これはアカデミー賞主演女優賞も納得。


逆に言うとストーリー自体はちょっとあっさりしすぎているかなという印象。
先に亡くなった夫・デニスの幻が彼女にだけ見えるのは仕掛けとして大変面白く、デニスとの精神的な別れが楽しいことも辛いこともあった過去との決別に繋がるわけだけども、ならもっと生前のデニスの描写を増やした方が良かったんじゃないかな~と思ってしまう。過去パートがマーガレットが政治的に行ったことのダイジェストっぽくなっていて、その裏で家族との関係はどうだったのか、デニスがどう思っていたかっていうのが(空気として感じとれはするけど)画として少ないんだよな。
マーガレットが戦略的に首相を狙っていく過程とかも良かったので、アプローチを変えたらもっと印象の違う作品になった気もする。
良くも悪くも真面目な作りで、薄味だった。メリル・ストリープの力なくしては成立しない作品だろう。
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