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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~のtubameのレビュー・感想・評価

3.8
そうだ、埼玉に海を作ろう━━━━━


今度は舞台を関西に移して繰り広げられる茶番劇。
前作の異例のヒットを受けて制作された続編だが、それほどスケールアップしてるわけでもなく舞台が変わって出演者が追加された他はほぼ前作と同じような展開。でもこれがまあ安定して面白いのである。
ラーメン屋に入ってラーメンが出てくる安心感とでも言おうか。しかしこれがたゆまぬ努力で生み出された安心感なのだということはヒシヒシと伝わってくる。
わざわざ言うまでもないことだが、ヒット作の続編がイマイチだった例など履いて捨てるほどある。前作同様隅々までこだわり抜いて馬鹿を大真面目にやっているからこそ、保たれている高クオリティなのだ(Gacktが言うには、笑いがない大変厳しい現場だったという)。


結局のところこのシリーズが一貫して言っているのは「でも埼玉が好き」「埼玉っていいよね」(今回は滋賀も)からの故郷を誇ろう=自分に誇りを持とう・自分を愛そうということなんだけど、そのシンプルな結論を照れ隠しかのようにどこまでも遠回りして大袈裟に表現するくだらなさがどこか愛らしい。


昔の少女漫画から出てきたようなGacktの存在感は相変わらずだが、加えて大阪府知事役の愛之助の癖のあるキャラがドはまりしている。
大阪パートは「チャーリーとチョコレート工場」のウンパルンパのパロディがあったり(「ウォンカ」と公開時期が被った奇跡!)、アングラ演劇みたいな演出があったりで飽きさせない。藤原紀香との夫婦共演も愉快なボーナス。


他所様の土地(?)で暴れたせいか、敵役の大阪人らに本当は情に熱いとかフォローを入れているのがちょっと面白い(前作では群馬や茨城にはフォローしていないが、同じ関東圏だから愛のあるディスりって分かるよね?ってことだろう)。


前作と同じスコアでも良かったのだが、二階堂ふみの百美の出番が少なくて寂しいのと、滋賀が犠牲を強いられる下りがあんまりと言えばあんまりかなと思い少しだけ下げた。
とは言え、総合的には実に楽しい万人に薦められる作品である。ちょっと肩の力を抜きたい時にオススメだ。
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