すずき

イースタン・プロミスのすずきのレビュー・感想・評価

イースタン・プロミス(2007年製作の映画)
4.0
舞台は現代のロンドン。
身元不明の少女が病院に担ぎ込まれ、子供を産んで死んでしまう。
助産師のアンナは、少女の家族に赤ちゃんを引き渡す為、彼女の持ち物の日記に目を通す。
だがその日記はロシア語でアンナには読めず、手がかりは挟んであった市内のロシア料理店のカードだけだった。
仕方なくその料理店に行って事情を話すと、一見優しげなレストラン支配人が日記を解読してくれるという。
だが実は、その爺ちゃんこそ、少女を死に追いやった少女買春ロシアンマフィアのドン。
その事を知って驚愕するアンナに、組織の一員であるニコライが接触する…。

デヴィッド・クローネンバーグ監督のヤクザミステリーサスペンス映画。
前作「ヒストリー・バイオレンス」に引き続き、ヴィゴ・モーテンセンが主演。
以前のような、派手でぐちょぐちょなグロテスク描写は控えめで、ドラマ部分で魅せる作品だけど、それでもまだまだバイオレンス描写は過激。
凍った死体を処理する描写で、プラモデルのランナーからパーツを取り外す「ゲート処理」のように、指をニッパーでパチンパチンとやっていく所は鳥肌。

ヤクザ達のキャラクターも好き。
主人公のニコライは感情を見せない冷酷な男だけど、時折優しい所を見せてアンナを助ける。こんなん惚れてまうやろ!
更に彼にはもう一つ、裏の顔を持っている。後半に判明するそれはよくある設定なんだけど、伏線を伏線と思わせない巧妙な貼り方で意外だった!
それからニコライの友人であり直属の上司でもある、組織の跡取りバカ息子、キリル。
ド悪党なんだけど小物で、最後の最後に一線を越えられない。そしてホモ疑惑もあって、組織の中で順当に出世していくニコライに対しては複雑な思いを抱える。
そして組織のボス、セミオン。
一見家族に優しい爺ちゃんなんだけど、実際の所は家族以外の他人を人間と思っていないド鬼畜。
爺なのに少女を強姦できるほど(しかも息子の目の前で)精力もヤバそう。
こうして見てみると、みんな2面性みたいなのを抱えてるんだな。

しかしこの映画の一番の見所は、ヴィゴ・モーテンセンのフルチンアクションである。
サウナで殺し屋二人に襲われるクライマックス、これがもうホントに死闘というべき壮絶なもの。ヒーロー映画みたいに派手で爽快ではないけど、命の奪い合いの痛々しさとリアルさを感じさせる。
そしてヴィゴ・モーテンセンのフルチン!!!(2回目)
アクションのたびにブランブラン振れるし、なんならキン○マの裏側までガッツリ映ってる。ファンは必見だ!