ふしみあい

ドッペルゲンガーのふしみあいのレビュー・感想・評価

ドッペルゲンガー(2002年製作の映画)
5.0
何だかよくわからないけど魅力的な作品だった。

2000年代初頭感が画面からプンプンしてていい。
懐かしさもあるしファッションや美術がリアル。空気感が生々しい。

そして配役が絶妙。どのキャラも生きているし行動が予測不能で面白い。
みんな演技がうまする。ドッペルゲンガーになると当然別人だから話し方や所作、顔つきまでもが変わってくる。そんな些細な動作で、あれ、もしかしてこの人も…と思わせぶりなところも面白かった。

変な機械、いい感じの廃工場、現れるドッペルゲンガー、サクサクな人死に描写、山奥の工場、爆走するワゴン車…と、どんどん話が加速していき、どんどん奇妙になっていく。世にも奇妙な物語の劇場一本分という感じだ。

脚本自体が変な話ではあるが、何と言っても編集がすごい。ドッペルゲンガーというタイトル通り、もう一人の自分と対面することになるのだが、それをCGを使うことなく、スプリットスクリーンを使ったりカットバックで切り替えることでうまく処理している。
これは撮影の時から思いついていないとできないことだろうし、低予算ながら面白いものを作ってやろうという黒沢清監督の意気込みが伝わってくるような気がした。

アイデアとそれを実際に形にすることへの労力を厭わずこの映画ができたのだろう。すごいなあ、カルトっぽい雰囲気でずっと画面に見入っていた。
編集と撮影と音楽。全てが絶妙に奇妙で、時々怖い、それなのになるほどーという感じ。こんな映画撮れたら面白くてしょうがないだろうな。