蜜がいっぱいの作品情報・感想・評価

「蜜がいっぱい」に投稿された感想・評価

birichina

birichinaの感想・評価

4.0
(ストーリー紹介のあるサイトが見当たらなかったので、それも含めての感想。)

1966年カンヌ映画祭で「男と女」とパルムドールを分け合った作品。
北イタリアのトレヴィゾ(お金持ちが住む町)に住む暮らし向きのいい夫婦たちの不倫模様をコミカルかつシニカルに描いていて面白い。

3つのストーリーが展開される。1つ目は、友人である医師の若妻と不倫する男が、不倫がバレるのを防ぐために「自分は不能になった」と医師に相談する。仲のいい夫婦が集まり夜遊びに行った時、もっと遊びたい医師は男に妻を家へ送るように頼む。仲間の中で一番安全な男に思えたからだ。ところが…。
男の妻は教会のボランティア活動に熱を上げるようなお堅い女、一方、医師の若妻はキュートでセクシー。男の浮気もうなずける。

2つ目は、バール(カフェ)のレジ係の若い女性に一目ぼれする銀行員の男の話。男の妻は愚痴や文句を夫に言うのが生きがいのような女。男はそれに嫌気がさしていて耳栓で防御している。家庭崩壊寸前、だからレジ係への気持ちも募る。ある日、心を打ち明けると、彼女もまんざらでもない。こっそりデートをしたり彼女と過ごす部屋を借りたり夢のような時を重ねるが、やがて妻が反撃に打って出る…。
同じような男女の関係をメロドラマ風に描いた「わらの男」と描き方が対照的。
レジ係役のヴィルナ リージはハリウッド映画にも出演していた金髪が売りの美人女優。だが、ジェルミは彼女に黒髪のかつらをかぶせてイタリア人ぽくさせた、そこがジェルミのすごいところだと脚本家がインタビューで言っていた。

3つ目は、欲しいものを手に入れるために“パパ”におねだりする娘と、引っかかって“パパ”になった紳士たち(signori)の話。娘は若く成熟した体を見せびらかせて(常に何かを食べている)男たちをその気にさせ、靴や服を買ってもらう。だが翌日、娘の父である農夫が男たちの家へ訪ねてきて、未成年買春で訴えると騒ぎ立てる。引っかかった男たちの中には1話目の医師や不倫した男が含まれている。彼らは慌てて警察や裁判所の人々を買収しようとするがダメ。不倫男のお堅い妻(実は相当な資産家)が自分が農夫とカネで話をつけるというが…。
マスコミの対応などにも話が及んでいて興味深い。

3つとも誰にでも起こりうるような色事で、当事者たちや世間のモラル観がコミカルかつシニカルに描かれているのが楽しい。当時の日本のモラル観とはかけ離れていたのだろうか、日本では「男と女」のようにヒットしなかったのが残念。原題は「Signore e Signori」(Ladies and Gentlmen)だが、邦題は「蜜がいっぱい」。甘い誘いがいっぱい、みたいな意味か?
個人的には2つ目が◎。