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張り込みのtjZeroのレビュー・感想・評価

張り込み(1987年製作の映画)
3.8
舞台はシアトル。
脱獄した凶悪犯が立ち寄る可能性があるため、元恋人マリアの居宅を、クリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステヴェス)のふたりの刑事が監視することになるのだが…。

本作(Ⓐ)を観ていて思い出したのが、クリント・イーストウッド監督&主演の『ルーキー』(Ⓑ)。

ベテランと若手の刑事コンビもの…ってだけではありません。Ⓑでイーストウッドとコンビを組むのが、Ⓐの若手エステヴェスの弟、チャーリー・シーンなんですから。まさにこの両作は、兄弟作⁈

Ⓑのクリント&チャーリーは、筋肉成分高めで能天気な性格。なので、作品のテイストも、腕っぷし重視のアクション成分高めでした。

一方Ⓐのリチャード&エミリオは、もっと知的というか、演技力で勝負するタイプ。なので、作品としてもグッと地味めで、コメディ要素が強い。

クリスが監視対象のマリアに本気で恋してしまい、しかし刑事の身分を明かす訳にはいかない…というジレンマの部分などは、さすがのドレイファス、『グッバイガール』などで見せてくれた男心の機微を巧みに表現してくれています。

そのヒロイン、マリアを演じるのはマデリーン・ストウ。
聡明で、自立していて、やさしさのある妙齢の女性に扮して魅力(&フェロモン)たっぷり。
一方、Ⓑで悪のヒロインに扮するのが、ソニア・ブラガ。
捕らえたイーストウッドを、SMチックな拷問にかけるのですから、強烈な印象を残します。
このラテン系の両美女を比べて観ても、両作の個性の違いがクッキリと出ていて面白い。

マイルドで味わい深いⒶと、もっと派手でスパイシーなチリ風味のⒷ…どちらも水準以上の出来なので、セットでお楽しみください。
ジャンルは同じでも、個性は全く違うので、食べ合わせをしても胃にもたれないと思います(笑)。
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