舞台はシアトル。
脱獄した凶悪犯が立ち寄る可能性があるため、元恋人マリアの居宅を、クリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステヴェス)のふたりの刑事が監視することになるのだが…。
本作(Ⓐ)を観ていて思い出したのが、クリント・イーストウッド監督&主演の『ルーキー』(Ⓑ)。
ベテランと若手の刑事コンビもの…ってだけではありません。Ⓑでイーストウッドとコンビを組むのが、Ⓐの若手エステヴェスの弟、チャーリー・シーンなんですから。まさにこの両作は、兄弟作⁈
Ⓑのクリント&チャーリーは、筋肉成分高めで能天気な性格。なので、作品のテイストも、腕っぷし重視のアクション成分高めでした。
一方Ⓐのリチャード&エミリオは、もっと知的というか、演技力で勝負するタイプ。なので、作品としてもグッと地味めで、コメディ要素が強い。
クリスが監視対象のマリアに本気で恋してしまい、しかし刑事の身分を明かす訳にはいかない…というジレンマの部分などは、さすがのドレイファス、『グッバイガール』などで見せてくれた男心の機微を巧みに表現してくれています。
そのヒロイン、マリアを演じるのはマデリーン・ストウ。
聡明で、自立していて、やさしさのある妙齢の女性に扮して魅力(&フェロモン)たっぷり。
一方、Ⓑで悪のヒロインに扮するのが、ソニア・ブラガ。
捕らえたイーストウッドを、SMチックな拷問にかけるのですから、強烈な印象を残します。
このラテン系の両美女を比べて観ても、両作の個性の違いがクッキリと出ていて面白い。
マイルドで味わい深いⒶと、もっと派手でスパイシーなチリ風味のⒷ…どちらも水準以上の出来なので、セットでお楽しみください。
ジャンルは同じでも、個性は全く違うので、食べ合わせをしても胃にもたれないと思います(笑)。