徹底して何か特別な事が起こる訳でもなく、ミニマムかつミニマルな展開に「何回やんねん！」とのツッコミを何度も入れたくなるが、この監督の作品に漂う空気感とこの監督が持っている間の心地良さは並大抵の物でなく、1秒が3秒、いや5秒にも引き延ばされた様な穏やかな時間が流れる、もはや一人精神と時の部屋状態である。まるで個性が無く全く売れない役者がとある島に赴き役者志望の青年に演技指導をする、とただそれだけのお話。一応その島にはちょうどアイドル崩れの名もなきグラビアタレントが来ていて、観光雑誌の取材と言われながひたすらビキニ姿にされるのを訝しがる、との謎のサブプロットがあるが、同じ宿に泊まる以外に何か発展、それこそ恋が芽生えて…みたいな事はまるで起こらない。個性を要求され争いを強いられる社会からの逃避→ありのまま自分を受け入れることで獲得する個性、と言うことらしいが、別にそんな大それたメッセージを受け取る必要も無く、癒しのことりっぷムービーとして受け入れた方がいい気がする。島の子供達がめちゃくちゃ可愛い、正直メイキングの方が面白いかもしれん。相撲は争いじゃない、コミニュケーションだ！

今年見た映画で一番好きだ。おれこれなんで見てなかったんだろう。キャストとかスタッフの共通の感じからも最良のいまおかしんじとか女池充感。絶対次のカットをわからなくさせてやろうという意識。メイキングの芹澤明子のロケハンにもちょっと感動。

本当に大好きです