優しいアロエ

コッポラの胡蝶の夢の優しいアロエのレビュー・感想・評価

コッポラの胡蝶の夢(2007年製作の映画)
3.4
 「胡蝶の夢」とは、「夢の中で蝶となって舞っている私が実は現実で、現実にいる人間の私が夢なのではないか」という儒教家・荘子にまつわる逸話らしい。

 邦題が示す通り、夢か現実かわからないシュールレアリスムのような絵が続く。主演はティム・ロス、その脇を固めるのがブルーノ・ガンツとアレクサンドラ・マリア・ララの『ヒトラー 最期の12日間』コンビ。

 88歳の主人公が雷に打たれて40歳にまで若返り、知能も向上して、予知能力まで習得してしまう。原題『Youth without youth』の由縁はこの若返る設定にあるのだろうが、なぜ“若さなき”若さなのか。

 割と哲学的な内容で、正直細かいところまで理解することはできなかった。主人公が生涯没頭してきた「言語学の追究」についての話なのだろうが、それが後半にかけて回収されたようには思えず。ただ、セピアに統一した映像が美しかったため、夢想的な世界に浸りながら観ることはできた。
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