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小人の饗宴のアー君のレビュー・感想・評価

小人の饗宴(1970年製作の映画)
4.0
ニュー・ジャーマン・シネマの代表格であるヴェルナー・ヘルツォークの1970年に公開された問題作であるが、単純にブラックユーモアなどにジャンル分けができない、捉えどころの無い映像世界であった。

ナチスが行ったのはユダヤ人による迫害だけではなく、マイノリティのある人間たちを優勢思想に基づいて排他的に隔離していたこともあり、この映画による収容された十数名の小人たちが待遇による反乱(クーデター)は当時のドイツにおける障がい者問題を案に示しており、福祉に対しての警鐘でもある。

小人が動物の虐待や目の不自由な人を揶揄する場面は、障がいの中でも優劣があり、差別された世界の中に細分化された格差を生々しく描いた縮図である。

現在でも建前だけで、ノーマライゼーションというはあまり浸透はしていないが、障がいのある人が健常者と同等に生活し、ともに活動できる社会を目指すことである。これは1950年代に北欧諸国から始まり、欧米社会で広く認知されるようになった。

日本では厚生労働省が、障がいの有無にかかわらずに多くの人が地域社会において活躍できる社会の構築を掲げており、ノーマライゼーションの理念に沿って障がい者の自立と社会参加の促進に取り組んでいる。バリアフリー、ユニバーサルデザインといったものがある。これらは、社会の仕組みに合わせて障がいをもつ人自身を変えるのではなく、障がい者がありのままに生活できるように社会が変わっていくという発想が根底にある。

小人症のタレントとなると、「スター・ウォーズシリーズ」のR2-D2役のケニー・ジョージ・ベイカー。日本でいえば、少し古いが「てなもんや三度笠」の坊主役でお馴染みの白木みのるだと思うが、身体の生まれならのマイナス面を逆手にとって社会に出ることは問題はないが、小人プロレスになると見せ物的な捉え方をされており、バランスが難しく今後は人権的な意味で厳しいこともあるかもしれない。(実際に白木はNHKの番組で難色を示されたの事。)

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