砂場

キャッチ22の砂場のレビュー・感想・評価

キャッチ22(1970年製作の映画)
4.0
アメリカの不条理文学が原作だ。筒井康隆も生涯の愛読書に入れてたくらい昔はかなり影響力があったのだった。映画の方はまだ比較的わかりやすい。若い人には「メメント」と「ダンケルク」を足したような話としてお勧めしたい。

イタリアにあるアメリカ空軍基地から爆撃機が飛び立つ中、キャスカート大佐と副官のコーン中佐を前に、ヨッサリアン大尉は話し合っている。大尉は大佐らを国を売ったと詰め寄るが最後は握手。ヨッサリアンが建物を出たところ、掃除人に変装していた誰かに刺される。ここからヨッサリアンの狂気の回想が始まる。

ヨッサリアンは何十回となく出撃を繰り返していたが、帰国のためのノルマである出撃回数が何度も引き上げられてきた。こうなったら狂人という診断を受け帰国するしかないと軍医に相談するも、自分を狂人という人間は狂人ではないという軍の規定があったのだった。

大佐は戦禍の中でM M興業という怪しげなビジネスを立ち上げ一儲けを企んでいる。ドリードル将軍を基地に招聘し喝を入れることに。
将軍はセクシー愛人と、腰巾着のような娘婿を連れて基地にやってきた。
年増の娼婦を彼女にするネイトリー、何度も海に墜落しても生還するオーアなど登場人物はみんな変わり者。

MM興業がナチスと取引をし、なんと自軍に自分の基地を爆撃させている。その爆撃に巻き込まれネイトリーは死ぬ。ネイトリーの彼女の娼婦はヨッサリアンがネイトリーを殺したと勘違いする。
話は冒頭に繋がり、掃除人に変装していた彼女にヨッサリアンが刺される。ヨッサリアンは病院で手当てを受け、神父との会話の中でオーアが漂流しスウェーデンで救助された一報を聞く。
オーアのやつ、うまいことやったな!とヨッサリアンは叫びながら病院を飛び出すのであった、、、、

戦争の狂気を描いた本作、最初はヨッサリアンは狂人のフリをするのであるが、周囲の状況が狂いすぎていて徐々に彼が一番まともに見えてくるのが面白い。ナチスと土地引した大佐の悪事見過ごすのか、あるいは軍法鍵にかけられるかの選択を迫られたヨッサリアン。最後はは晴れやかな顔つきで自由へと逃走するのが印象的。
爆撃機のシーンとか今のCGでは出せない生々しさがある、終盤イタリアの夜の街を彷徨するヨッサリアンの場面など陰影が強くキリコの不条理絵画のようで映像的にもかなり凝っていると思う。
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