イチロヲ

レスラーのイチロヲのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
4.5
80年代に国民的人気を誇ったプロレスラー(ミッキー・ローク)が、過去の栄光に縋りついたまま、今の時代を生き抜いて行こうとする。プロレスの特異なシステムを大前提にしながら、その業界に関わる人間の栄枯盛衰を描いている、ヒューマン・ドラマ。

筆者は闘魂三銃士あたりからのプロレス好きなので、あらゆるシーンが胸にグサグサと突き刺さり、心の中が流血戦状態になってしまう。まさに、この映画の存在自体が反則攻撃。ミッキー・ローク本人とのシンクロ効果も絶妙であり、実在感が半端ない。

自分の体がどんなにボロボロになっても、リングに上がり、客席の歓声に応える。そこに生き甲斐がある(そこにしか生き甲斐がない)ということ。トップロープ上にあがった主人公が、あることを確認してから、フッと顔を綻ばせる一瞬のカットが印象に残る。

なお、筆者は本作を公開初日に映画館で鑑賞したのだが、奇しくもその晩に三沢光晴がリング禍でお亡くなりになられた。筆者自身も真っ白になったのは言うまでもない。
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