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クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ ブリブリ 3分ポッキリ大進撃のHKのレビュー・感想・評価

3.5
クレヨンしんちゃん映画シリーズ第13作目。監督は今作から担当することになる『コレクターユイ』などのムトウユージ。キャストは矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、村井國夫などなど

いつもの日常を送っていた野原家に真夜中、とある光状の物体が侵入する。それは三分後の未来に現れる怪獣を倒すためのヒーローを探しにやってきたのだった。お腹の空いた彼はカップ麺を食べるためにしんのすけの玩具のしりまるだしに憑依してしまうのだが…

遅ればせながら明けましておめでとうございます。

今作より、クレヨンしんちゃん映画は、水島監督時代はまだ保っていた一定の面白さすら失い段々と一時的にスランプに陥っていく。個人的にはそう感じた。

あまり評価の高くないこの作品だが、個人的にはちょっと面白い要素もありそこは評価してこの点数にしましたね。

まず第一に怪獣は一般公募でもしたほどにバリエーションが多くてそこはとても良かったですね。それプラス、野原家が変身するヒーローたちも色とりどりでそこがとても良かったです。

それと、野原家の朝の様子をコマ回しで見せる序盤の演出がとても気持ちいい。それが野原家の変わらない日常の断片を映しているようであった。

そんな日常が、野原家がヒーロー生活に明け暮れていくうちに段々と崩壊していく。育児放棄や家事放棄というような、今の日本人家族が抱えているような諸問題に触れるような描写が豊富で、そこがとても良かったと思いますね。

怪獣バトルを多く撮りすぎだという意見がありますが、個人的にはあれぐらい尺を割いたとしても悪くはないと思いましたね。寧ろ怪獣のバリエーションの豊富さを堪能することが出来たので、怪獣好きとしては嬉しい限り。

ただ、物語のたたみ方が一番雑でしたね。一番足りなかったのは恐らく全体的な尺だったのかもしれません。あそこからの偽しんのすけとの闘いの尺もちょっとばかり、突拍子ないので、なんかあっけにとられるようなことが多かったですね。

あと、怪獣バトルに関してもただ単純にダイジェスト的に流してしまうところはやはり悪い所かな。もうちょっと時間を割いて一個一個丁寧にバトル描写したほうがまだ面白かったかもしれませんね。

今作はヒロイン枠というのは存在していませんが、みさえが変身した後の姿は、今まで以上に可愛かったりエロかったりと、ならはしさんが頑張っていますね。

途中で福圓さんが担当することにもなったりとしますが、あそこの福圓さんの声も個人的には好きですね。

敵怪獣にはラドンやゴジラをモチーフにしたような怪獣も出てきたり、キングギドラに似たような怪獣も出てきたりするなど、ある程度怪獣映画へのリスペクトも感じられる。

その分、もうちょっと物語に起伏とかバトルシーンのカタルシスというのが、終盤のどろどろした怪獣との対決以外なかったのが、ちょっと残念ですね。

ムトウユージ監督も、この映画ではしっかりと日常に軸を置いているからこそ、ある程度しんちゃんでやりたかったことは分かるような気がします。

いずれにしても見れて良かったと思います。
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