deenity

オアシスのdeenityのレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
3.5
韓国映画のどことなくヘビーに感じてしまう感じがあったのだが本作はずっと気になっていた作品。なかなかとんでもない作品だった。

まず何よりも主演のムン・ソリの演技には誰もが唖然とするだろう。「ああ、本物の障害のある人なんだな。」と思うはずである。しかし、これが演技だと気づかされた時はかなりの衝撃が走った。
突然健常者の様に動き出す。もちろん作品内では空想の世界ではあるけれど、何が起こったか一瞬目を疑う。「え、この動いている人誰?」それほどまでに彼女の今作での演技は演技の域を逸していて、正直度肝を抜かれた。それでいてこの空想の世界がやはり微笑ましく見えてもくる。自由に動き、思ったことをスラスラ話せることがどれだけ素晴らしいことか。現実に戻った時、何も変わっていないけどやはり重さをより感じてしまう。本作の重さ。障害者という重さ。どことなく韓国映画に流れる重さをひしひしと感じた。

二人の特異な関係性は周りから見ると冷ややかな目で見られるものなのかもしれない。それでも二人の間に流れるのは温かくて幸福感の溢れる雰囲気。だからこそラストの展開は悲しくて悔しい。
それでも最後に彼のとった行動にはやはり愛を感じて、重いんだけど心に響く温かい名作なのだと感じられる作品だった。
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