LalaーMukuーMerry

アモーレス・ペロスのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

アモーレス・ペロス(1999年製作の映画)
4.0
アモーレ・ペロスAmores Perros = Love dogs 犬のような愛 → 転じて(ワンちゃんには悪いが)「みじめったらしい愛」。
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少しだけ繋がった3つの話は確かにどれもそんな話。自分がみじめったらしいと密かに感じている大概の人も、この作品の登場人物と比べれば自分はまだましと思える事でしょう。さかりのついた若者は第1のストーリー、不倫中の中年は第2のストーリー、わけあって家庭を捨てた老人は第3のストーリーをご参考に(対象は男性限定です)。
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どのお話にもワンちゃんが出てきますが、血だらけになって倒れている姿が何度も出てくるので、ちょっと見るのがつらかった。第1話にでてくる闘犬というものを私は見たことがないですが(見たいとも思わないが)、負けた犬が死ぬまで闘い続けることはまずないと思います。第3話でも、ご主人が留守の間に一匹のワンちゃんが他の飼い犬を全て殺していたというシーンがあるのですが、これも同じくありえない。犬同士のケンカでは勝敗が決まれば負けた犬が尻尾をまいて逃げ、(あるいは戦う前にかなわないと思ったらおなかを見せて寝転がって服従を示し)、勝った犬はそれを見て戦意がなくなるようにできているのです。相手が死ぬまで戦いをやめないのは残忍なホモサピエンスくらいのものでしょう。
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第2話の、マンションのフローリングに空いた大きな穴から床下に入ったまま出てこれなくなったワンちゃんがいかにも不自然でした。というよりそんな大きな穴が開いたら、(金持ちなんだから)我慢して暮らすのではなく、すぐに修理でしょ!
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犬に関するマイナス点を除けば、この映画はよくできていて、スリリングでテンポよく、とても引き込まれるものだった(特に第1話)。監督(イニャリトゥ)はこの作品を亡き息子に捧げたという。どういう息子さんだったのでしょう? 
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「人は失ったものでつくられる。人生は失うことの連続、失うことで本当の自分になれる。」というメッセージらしいです。
ナルホド! よりも、マジ!!??かな 
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イニャリトゥ監督作品の初鑑賞・・・と思ったら、「レヴェナント:蘇りし者」と「バードマン、あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を見てました。個性強い監督ですね。