あーや

グッドモーニング・バビロン!のあーやのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「グッドモーニング バビロン! Good morning Babilonia」はイタリア映画です。今回誤ってイタリア語吹替版で見てしまいましたが、本来の公開は全編英語で一部イタリア語です。
前情報は全く無しで本作を観ました。ディスクパッケージの壮大でカラフルな舞台装置の画だけ見るとハッピーなストーリーやと思っていましたが、泣かせる映画でした。
主人公はイタリアで歴史的な建造物の修復を手掛ける石工師として働く7人兄弟の末っ子2人。ある日父親から不景気のため家業を畳むと告げられる。(この父親があの「エル・スール」のお父さん!優しそうだけど何か得体の知れない彼特有の空気はそのままですね。)その才能を父親に認められていた末っ子2人はイタリアに必ず帰ってくると父親に告げて、経済成長中のアメリカへ旅立ちます。そのアメリカでなかなか思うような仕事が出来ずうずうずしていた彼らの人生を変えたのが、D・W・グリフィス(David Wark Griffith)!(演じるのはチャールズ・ダンス。なんとなく似ている)
グリフィスは実在したアメリカの名映画監督でモンタージュやクローズアップ等様々な撮影技法を生み出したため、映画の父と呼ばれています。彼がイタリアの歴史を元に作られた名作「カビリア CABIRIA 1914年」に触発されて作った名作 (余談ですがリュミエール兄弟が世界で最初の映画「工場の出口 La Sortie de l'usine Lumière à Lyon 1895年」を制作したわずか20年後に作られた3時間半の大作です)が、「イントレランス Intolerance 1919年」という世界の映画史に残る歴史叙情詩です。私は運悪くカビリアもイントレランスもまだ見たことがないので近々必ず観ます。
実際にグリフィスはカビリアに触発されてイントレランスを作ったと言われているので、本作の監督であるタヴィアーニ兄弟もイタリア映画栄光の時代を確かに示すためにもこの流れは必ず描きたかったのでしょう。
さて。主人公のふたりは結婚して子供もできますが、人生絶頂のままでは進みません。ある事件をきっかけにふたりは別々の道を選び再会したのは世界一次大戦の戦火にあるイタリアでした。そこで2人は父親として、映画人としての生涯を終えるのです。 多分このラストが泣き所ですが、私は中盤の2人が制作費のない中で見事に作り上げた象が燃やされて、火達磨になって倒れた時に悔し泣きしてました。
イタリアからアメリカへ向かう船内では2人で船の傾きに合わせて一つの料理を食べたり、ワインの波紋やシンバルで互いの心の存在を確認しあったりととにかく通じあっていた2人。2人が向かい合ってそれぞれ想いを寄せる女性にラブレターを書くシーンが可愛くて好きです。それにしてもイタリア男性が愛を伝える時のフレーズってなんなの?テンプレあんの?あれが普通?ロマンチックすぎて2人の恋愛に全く関係ない私が照れていました。
ラストで戦地が舞台となって2人にカメラを託す展開は少し無理やりというかご都合主義な気はしますが、あのグリフィスが主人公たちの恩師として登場し、イントレランスの製作現場が描かれているというだけで私は充分満足です。
あーや

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