シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

グッドモーニング・バビロン!のシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

4.0
3.9と迷ったけど、4付けましょう。傑作。
神の腕を持つと言われる兄弟の職人がアメリカに移民する。流れ着いたのはハリウッド、『イントレランス』を撮影中のかのD.W.グリフィスに見いだされ、美術を担当する。美し過ぎる白い象。美しい恋人たちと結ばれ、二人は父親に…というところで兄弟の運命が暗転。
家族人類学者エマニュエル・トッドの分析によれば、兄弟の故郷であるイタリアのトスカーナは、外婚制共同体家族で、親は権威主義的だが、兄弟は平等だとのことで、兄弟間の平等にこだわるところが、正確な分析なんだなと思った。その兄弟の均衡が壊れたとき、物語は一挙に悲劇になだれ込むのだが、悲劇を悲劇に終わらせない演出が良い。人の命は儚くても、人の手が作り出した美は永遠にして不滅だからだ。
また小気味良かったのが、グリフィス監督の映画賛歌とイタリア人の何とも愛らしい、猛らない愛国心。『ライフ・イズ・ビューティフル』でもそうだったが、イタリア人の愛国心ほど、他国人が見て気持ちの良い愛国心はないと思った。
何せ「イタリアばんざい」ではなく「フィレンツェばんざい」で、「世界一美しい街よ」という科白が心を震い立たせるのだから。

追記 そういえば、父親役が『父 パードレ・パドローネ』と同じですね。オメロ・アントヌッティ。でもこちらのおやじの方が少し優しい(笑)