のら

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士ののらのレビュー・感想・評価

3.0
ミレニアム2火と戯れる女の実質的な後編で火と戯れる女で起きた全貌が明らかになる。

しかし火と戯れる女で起きた事件がいよいと解決するのか?と思ったら、本作でもリスベットの過去の話が続いており話が進まない。そもそも陰謀のネタである旧ソ連時代にスパイの亡命を許していた話とか、隠蔽すようなスキャンダルではないし、国家機密にしたって機密としての新鮮味がないので、そこまでして隠蔽する理由が不自然過ぎる。

特に本作が問題だなと思うのは前後編の完結、つまり解決編にあたるにも関わらず、サスペンスの要素が増えすぎてしまい、話が散漫になっている点にある。これはザラチェンコ亡命事件という本筋に加えて、リスベットの裁判、リスベットの兄の逃亡劇、そして主人公達を襲う組織の魔の手と、とにかく火と戯れる女で出生の秘密に割いて、本作にサスペンスの要素を詰め込み過ぎてしまっている事に起因している。

正直いって映画というよりテレビのスペシャルドラマと言った感じで映画化するなら兄貴の件を排除したほうが話が整理されただろうし、本作に限定すれば兄貴の件は機能してないので削っても良かったのではないだろうか?

本作の原作は未完のまま作者が亡くなっているので真の完結はないのだが。最後まであのタトゥーの意味が分からないのは映画版の完結編としてどうなんだろうか?
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