Kamiyo

殺しのドレスのKamiyoのレビュー・感想・評価

殺しのドレス(1980年製作の映画)
4.0
1981年”殺しのドレス”監督.脚本ブライアン・デ・パルマ
原題"Dressed to Kill"で、殺すための扮装の意。

公開当時、性描写と殺しのシーンが話題になった作品だが、性描写はともかく,殺しのシーンは今見ても鳥肌が立つ。
ブライアン・デ・パルマ監督の最も脂ののっていた時期の代表作なのだ、「サイコ」と物語構造がドそっくり。

冒頭 ピノ・ドナジオの甘く流麗な音楽に乗って
カメラがゆっくりとシャワールームに向かう。
シャワーを浴びている身体を舐め回すカメラの
場面から。女性ケイト(アンジー・ディッキンソン)
官能的にボディを洗う、顔の写っていないシーンは、
ボディ・ダブルだろう(四年後のデ.パルマ映画名同名)
身体の一部を代役で撮るという、映画用語だ。
とにかくこのシャワー・シーンのいやらしいこと。
この人のお色気シーンなんだか下手なポルノを
見てる気にさえなる。
まあ、実はそれも嫌いじゃないんだけどね。
あはは デ・パルマらしい。
これは性生活的に旦那に不満を持つ
中年女性ケイトの妄想である

翌日、1人で街に出たケイトは白いコート&白いハンドバッグ&白い手袋という出で立ちで、精神分析医エリオット(マイケル・ケイン)のクリニックでカウンセリングを受ける。ケイトの夫へのセックスへの不満を聞いてやり
程よい助言を与えたが、エリオットの助言も
彼女には効用はないとみえ
いらいらした気持ちはそのままに
ニューヨーク・メトロポリタン美術館に行く
その気持ちままで、彼女は1人の男の視線を感じた。
男は挑発的にケイトを誘う。

美術館での「男と女の駆け引き」はけっこういいね。
漂うカメラに、セリフほとんどなし、音楽とちょっとしたカット割で見せてくれるもの。
扇情的な肉欲とでもいうのかな?そういうのもひしひしと感じさせてくれて面白かった!

彼女は誘われるままにその男とタクシーの中でセックス
真っ昼間から運転手の見てるのにタクシー内で
セックス!セックス!ホント下品だなあ、
パンティーをずり下すパンティーをタクシーの中に忘れる
見てて笑っちゃったよ。デ・パルマちゃん!

男のアパートヘ行った。
その男との情事の後、男の家で良い思いをした女性だったが、その男性が性病を患っていたことを知り逃げる...

エレベーター殺人シーンの映像テクはすごいの一言。
ケイトが切り刻まれる場面の短いカット割には唸った。
エレベーター内のミラーを効果的に使った殺人映像は案外静的でありながらも、音楽や役者のいかつい顔で
恐怖を煽る。素晴らしい。ああいうのが
デ・パルマの「演出」だよなあ!
ヒッチコックの「サイコ」シャワー殺人場面と同様
忘れられないシーンとなった。
犯人はブロンド女性の姿だった

この”殺し”を目撃した女性リズ(ナンシー・アレン)と
殺されたケイトの息子のコンビが犯人探しします。
リズの場合は警察に無理やり
協力させられちゃいますけどね。

確かに多分に「サイコ」入ってるけど、それでもオリジナリティがあってね!俺はてっきりマイケル・ケインが多重人格者(とは今はいわないんだっけ?)で犯人だと思ったのに、途中にある分割画面でケインのアリバイが成立しちゃってるんだよ。
それに殺人犯である金髪の女がナンシー・アレンを車で追跡してた際に、「あれ?さっきタクシーの運ちゃんに邪魔されてたのに、ナンシー・アレンが向かった先にいるのはおかしくないか?もしかして犯人は二人いるのか?」とか、いろいろと推理できる楽しみがあって良かった
(ま、それらのオチはけっこう当たり前のものだったけどね。でも警察の対応、ちょっと杜撰。犯人がわかったら、すぐに報告せい!)。オープニングを巧く「罠」にしたラストもドキドキしながら、ビックリした!

終盤、ナンシー・アレンの誘惑に、マイケル・ケインがニヤリと微笑みネクタイをはずすシーン。あの助平な笑顔に思わず失笑したが、やがて震撼。観客がデ・パルマとケインにしてやられて、しかし不思議と心地良かった事を覚えている。

デ・パルマの女性はとことんセクシー。
そのセックスアピールの描写はストレートで
マーゴット・ギダー、ジェシカ・ハーパー、シシースペイセク、ジュヌビエールビジョルド、ミシェル・ファイファー、メラニーグリフィス、エマニュエル・ベアール、スカーレット・ヨハンソン、レベッカローミンステイモス・・・・・
ここまで、ヒロイン像にブレが無い監督も珍しい。
「妖しい女」が大好きなんだろうな。。。。
デパルマって・・・・
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