滝和也

機動戦士ガンダムの滝和也のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)
4.4
人類が増え過ぎた人口
を宇宙に移民させるように
なって既に半世紀。
地球の周りには巨大な
スペースコロニーが
数百機浮かび、
人々はその円筒の内壁を
人工の大地とした。
その人類の第二の故郷で
人々は子を産み、育てそして
死んでいった。

宇宙世紀0079 地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。この1ヶ月あまりの戦いで、ジオン公国と連邦軍は総人口の半数を死に至らしめた。人々は自らの行為に恐怖した…。

戦争は膠着状態に入り、8ヶ月余りが過ぎた…。

「機動戦士ガンダム」

伝説の始まりである。巨大なるサーガはここに始まりを迎えた。鉄腕アトムに始まる日本アニメ史はここに革新を迎えたと言っても過言ではない。

サイド7に住む少年アムロ・レイはジオン公国のシャア少佐率いるムサイ、モビルスーツ・ザクによる急襲により、偶然連邦軍のモビルスーツ・ガンダムに乗り込む…。長きに渡るアムロとシャアの物語はここに始まる。

この物語は勧善懲悪ではなかった。ヒーローものではない。しかも戦う相手は同じ人間であり、異形のものではない。毎週違う敵ロボットが襲ってくるわけでもない。量産された兵器なのだ…。

「戦争」

小学校高学年の私は初めて見る、「戦争」と言う悪魔をガンダムに見た。普通に暮らす人々にある日ふりかかる災厄。主義と主張が人々をわけ、戦わせる。等身大の少年アムロ・レイの目を通して、リアリティに徹した戦争を見せてくる。巻き込まれ、戦わざるを得ない環境の中、アムロ・レイは覚醒し生き抜いていく。父を失い…母に理解されずとも。

赤い彗星の異名を持つシャア・アズナブル少佐。アムロのライバルとして描かれたもう一人の主役。話すセリフすべてが今や名セリフとなった彼の宿命は物語のもう一つの柱である。

そしてモビルスーツ。ワンメイクのヒーローロボットではなく、量産を可能とする機動兵器。その戦車・戦闘機の持つミリタリー性を内包した兵器に子どもたちは魅入られた。1個300円で販売されたプラモは瞬く間に店頭から消え、長蛇の列に並ぶしかなかった…。

そしてこの映画のクライマックスに登場するガルマ国葬シーンにみる

「独裁国家」

ザビ家が支配するジオン。ギレン・ザビによる演説。その恐ろしさを知るのはその数年後、ドイツ帝国ナチス、ヒトラーを知る時であった。この内容はYouTubeに生ギレン演説を見てほしい。間違いなく洗脳される。それほど素晴らしい…。

ガンダムブームはTV放映が終了した後、巻き起こり、この作品が公開され、更に燃え上がった。そして今もガンダムファンは増え続けている。もしも見ていない方がいるならば、ぜひご覧下さい。アニメは実写映画にこのとき、追いついたのです。ヤマトと言う先駆者、富野由悠季が作成したザンボット3やトリトンを下敷きにし、ガンダムで昇華しました。確かにTV版の総集編ではあるものの、一個の作品として見事に完成しています。最後に…

「君は生き延びることができるか」

次巻…青き巨星、黒い三連星、復活のシャア!「哀・戦士編」
滝和也

滝和也