HK

36時間のHKのレビュー・感想・評価

36時間(1964年製作の映画)
3.8
昔からタイトルだけは知っていた本作をアマプラの100円レンタルで初鑑賞。
第二次大戦中の話ですが戦闘シーンは一切ナシの情報戦サスペンスとでも言いましょうか。
Dデイの直前、ドイツ軍は上陸作戦の重要機密を握る連合軍将校を意識不明にして拉致、目覚めたところを皆で米軍に化けて今は6年後の戦後だとダマし、記憶喪失の治療と称して上陸場所と作戦の情報を聞き出そうとします・・・

原作はロアルド・ダールの“beware of the dog(猛犬注意)”という短編。
多少の無理はあるものの、こんな突飛な発想は大好き。
映画を観てる側にはドイツ軍の策略は全てお見通しだし、史実でノルマンディ上陸は成功したと知ってはいても、主人公がいつ気づくのかハラハラしてしまう上手い展開。

たった一人を騙すため大掛かりなセットと芝居でドイツ兵全員が米軍になりきり、未来の日付の新聞を用意したり、偽のラジオ放送を流したり、また意識不明の主人公の髪を白髪に染めたり、妙な薬で老眼にしたりと芸が細かくてなかなか楽しめます。
後の『スティング』や『トゥルーマン・ショー』などもこれと似た手口でした。

拉致される主人公はTV『ロックフォードの事件メモ』の“ジム・ロックフォード”ことジェームズ・ガーナー(『大脱走』『グランプリ』)。
対して、自らのチームで36時間の間に情報を聞き出す任務を帯び、主人公のどんな疑問にももっともらしく答えるドイツ軍ドクターにロッド・テイラー(『鳥』『大列車強盗』)。

収容所から逃れるためドクターの助手となったユダヤ人看護婦にエヴァ・マリー・セイント(『波止場』『北北西に進路を取れ』)。
ドイツ人俳優のウェルナー・ピータース(『バルジ大作戦』)が憎々しい親衛隊将校を好演。

本作の2年前の『大脱走』ではドナルド・プレゼンスと逃避行を繰り広げたガーナーですが、本作の後半でもセイントと二人で延々と逃避行、今回はお相手が美人なのが役得。
そういえばガーナーとセイントはこの後の『グランプリ』でも共演していましたね。

監督は『三十四丁目の奇跡』『大空港』のジョージ・シートン。
音楽は大御所ディミトリ・ティオムキンでした。
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