滝和也

眠狂四郎 勝負の滝和也のレビュー・感想・評価

眠狂四郎 勝負(1964年製作の映画)
3.8
迫りくる魔剣!
5人の刺客!

御正道を守らんとする翁
愛を貫かんとする女を
護らんと
無頼、眠狂四郎の
円月殺法が冴え渡る!

「眠狂四郎 勝負」

大映が放つ市川雷蔵主演、眠狂四郎シリーズの第二弾。転び伴天連の子である絶世の美剣士にしてニヒリズム溢れる眠狂四郎が秘剣円月殺法を用いて悪を討つこのシリーズ。今作は脇に重鎮加藤嘉を迎え、大映の綺麗どころ藤村志保、高田美和、久保菜穂子が華を添えている。

正月、江戸。気骨のある老侍と知り合いになる眠狂四郎。互いを気に入ったが、その老侍は勘定奉行だった。汚職、放蕩にまみれた幕府を改革しようとしていたが、反対派、特に呂色家だった将軍の娘高姫一派に狙われていた。狂四郎は気に入った老侍、勘定奉行を彼らから守ろうとする…。

今作は男だろうが女だろうが悪に対しては冷酷非情な眠狂四郎のキャラクターが伺えるようになり、また転び伴天連の子(外人男と日本人女のハーフ)であり、世を捨て儚み無頼となった背景が見えてくる故にストーリーに厚みが出ています。

無双無頼故に自らが思ったことを成す狂四郎が好々爺とした加藤嘉演じる老侍を気に入り守らんとするストーリーに狂四郎が悲運を重ねる女に藤村志保、呂色に耽る姫に久保菜穂子が絡み、痛快さに色気が加わり、面白さが増しています。

また前作の若山富三郎演じた敵に比べ、小粒になったものの、狂四郎に勝負を挑む刺客は5人に増え、その勝負シーンも多彩かつ狂四郎の円月殺法も研ぎ澄まされ、殺陣、撮影も素晴らしかった。特に二人目、槍の使い手との殺陣は暗闇の中での一瞬の攻防が正に白眉、美しさすら感じます。

加藤嘉演じる好々爺は正に好演。この爺さんを殺してはならぬと狂四郎が思う様に観客もそう思ってしまう程の好々爺ぶり。流石重鎮巧み過ぎる。また凄惨な殺しあいの世界に一服の清涼剤となるのが高田美和。狂四郎を含むこの三人のシーンが息抜きのように観客をホッとさせますね。

市川雷蔵のニヒルかつ美青年ぶり、円月殺法のカッコ良さに拍車がかかる第二弾。時代劇、剣術モノ好きにはたまらない作品です。昭和のエンターテイメントも中々凄い。お暇な時にでも(^^)
滝和也

滝和也