ドント

グリマーマンのドントのレビュー・感想・評価

グリマーマン(1996年製作の映画)
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1996年。一応再見。キリスト教に絡んだ連続猟奇殺人。またもや発生したそれはしかし、前の殺人とはどことなく手口が違っていた。その陰に隠された陰謀をロサンゼルス警察の黒人警官が追うが、相棒としてセガールがやって来たことで暴力の嵐が吹き荒れるサスペンスアクション。
ロスの街を舞台にして肉弾戦はもちろんカーアクションも大爆発もあるし巨悪も出るってのに全体にはこぢんまりした不思議な映画。登場人物が最小限であるせいだろうか。よくも悪くも狭いのだが、その分死体の猟奇性やセガールの執拗な暴力が小さい穴から鋭く吹き出るように印象に残る。
殺人事件、高校での籠城、教会、更正施設、掌の穴、悪党の死に様など、モチーフとして磔刑図がチラチラとよぎる。でも我らがセガールは東洋思想に凝っている設定。しかし同じ宗教として合体するでもなく、対立するでもない。
冒頭2分で説明もなくオフィスに現れ、圧倒的な力で無傷のまま相手を仕留め、クライマックスて一撃だけもらうものの鼻血が出て「それが全力か? じゃあお前は死ぬ」と言い放つセガールは、キリスト教も非キリスト教も越えた荒ぶる「神」の暴力の行使者にも見える。
捜査らしい捜査をする前から本質を見抜き推理は誤らず歯向かう奴はタコ殴り、アクション俳優から『戦艦』『暴走特急』の無双作品2本を経て、セガールの「セガール性」が極まった作品と言えるかもしれない。
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