遊女の亡霊と逢瀬を重ねた浪人が厄除けを祈願するのだが、次第に亡霊の愛憎を向けられる立場へと落とされてしまう。明治期の落語家・三遊亭圓朝の怪談噺を映像化している、ゴースト・ストーリー。
本作に登場する幽霊は、透明な足でスーッと移動して、両手を胸の前にブラリとさげて、「うらめしい」と言う。陽が沈んで周囲が暗闇に包まれると、突然真横に現れる恐怖。電灯がない時代だからこその暗闇の恐怖が伝わってくる。
人買いに対する抗議のために命を落とした遊女が、意中の人と会うために小悪党を金で買わざるを得なくなる不条理。幽霊を利用して金儲けを企む悪党夫婦が、落語(原作)の乗りのままなのが面白い。
せっかくの良質な怪談映画なのに、DVDの画質がVHS並みなのが至極残念(もしかしたらレンタル版だけかも)。