まりぃくりすてぃ

懺悔のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

懺悔(1984年製作の映画)
2.3
「祈り」三部作の完結篇。精神的大作。そして最もつまんなかった。冒頭(不味そうな教会ケーキが可愛かった)と終盤(生煮えっぽい魚ムシャムシャが意外に美味しそうだった)は悪くないけども、回想部分がハッキリ冗漫。
完結させようさせようって、ちょっと力んじゃったんだね。俗臭も出てきた。
文芸作じゃなく初めてオリジナル脚本で行ったことで構成が緩くなった、ってのが大きい? 主演(独裁チョビヒゲ市長役/その息子役)のアフタンディル・マハラゼさんの演技力をとことん味わうためだとしても153分は要らなかった。市長の態度のコロコロな変え方自体、必然性が足りなかったみたい。やっぱ脚本だね。
長すぎる回想終わって裁判からは再び観やすかったし、地下室(食べてるのはタラ?)のところの奇怪さと昂り方なんかドストエフスキーにゴリゴリぶつかっていきそうでスリリングだったけど、マハラゼさんに一人二役させたせいで肝心なところで誰が倒れてて誰が誰を投げ捨てたのかわかりにくかったのがチョットね。。。。

直截すぎてかえって難解な凄味のあった狭い第1作と、ポップでエモな第2作は、Jレノンの『ジョン魂(たま)』と『イマジン』の関係をちょっと連想させつつ秀逸なワンツーだったが、満を持してのこのスリーは意気込み強くてそこそこラディカルでも『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティー』ほどには自己整理ができてない。(ちなみに、その三盤の中では私はサムタイムが一番好き。世評とは無縁に。)
祈り、という行為について私の意見はあるけど、今は書かない。
ともあれ、精神的大作。最後の老婆の押しつけがましい一言には、無神論者の私としても溜飲が下がる。


[岩波ホール創立50周年記念特別企画上映]