great兄やん

トリコロール/青の愛のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)
3.8
【一言で言うと】
「呪縛からの“自由”」

[あらすじ]
自動車事故で最愛の夫と娘を失ったジュリーは、すべてを引き払いパリでの生活を始める。静かな日々を過ごすジュリーは、暮らしていくうちに過去の呪縛に囚われてしまう...。


初クシシュトフ・キェシロフスキ監督作。

...恥ずかしながらスッゲェ言いづらい監督としか最初は印象にありませんでした😅
それでも来月公開の『デカローグ デジタル・リマスター版』の予習への意を込めて鑑賞。

トリコロール3部作の第1作目。

面白さとしては自分でもよく分からないところがありましたけど、個人的にはかなり好きな作風であり雰囲気でした🙂
なんか...こういう映画こそミニシアターでしんみりと観たいんですよね〜🤔

ストーリーはざっくり言うと、事故で夫と娘を亡くしたジュリーが新たな新転地で過去の呪縛と“対話”していくお話。
今作のテーマでもある“青”、それを意味する“自由”。
この二つの要素が視覚的にもかなり特徴的に描かれており、ストーリーへの共感性としてはあまり感じ取れなかったものの、今作の持つ叙情的な美しさにひたすら見惚れてしまいました。

それにジュリー扮するジュリエット・ビノシュの演技といい存在感といい、ただただ圧倒されるばかり。
当時まだデビューして間もないのにも関わらずあの貫禄...流石世界三代映画祭で女優賞を制覇した女優はここまで格が違ってくるのかと軽く絶句ですね(゚o゚;;

それから角砂糖をコーヒーに染めて変色させるシーンだったり、どこか意味ありげな表現が度々出てくるところが今作の面白い箇所でもあり素晴らしい要所でもある。
どんな意味かは分からない、でも、きっと何か伝えたいことが表現されてるんだろなと、変に解釈の押し付けがましさがない表現力に次第と観ているこちらも終始惹きつけられました。

とにかく一回観ただけでは表面的な意味でしか感じ取れませんでしたが、それでも繊細かつダイナミックに、“過去”と言う名の愛から“自由”になる様を静謐に描き切った良作でした。

3部作の1作目なのでまだ全体的な感想が言えませんが、とりあえず言えることは個人的な嗜好からしてこういう映画はかなり好きだということ。

続く2作目もどんな作風になるのか...非常に楽しみです☺️