円柱野郎

ゴジラVSキングギドラの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラVSキングギドラ(1991年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

平成ゴジラシリーズ第2作。
23世紀から来たという未来人の乗ったUFOが日本に飛来。
彼らはゴジラによって壊滅させられた未来の歴史を修正すべく、ゴジラを歴史上から抹殺するために来たと話す。

未来人だのUFOだのといった話は昭和ゴジラでもたくさんあるので、ある意味でゴジラ映画らしいネタかもしれない。
安っぽいセットや奇妙な効果音もご愛敬といったところだし、この映画を観た子供時代には実にワクワクしたもんだ。
でも大人になった今観てみると、かなりハリウッドのSF映画からつまみ食いした内容であることも分かるので、ちょっと微妙な気持ちにもなったり(苦笑)
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だ「ターミネーター」だ「スター・トレック」だなどといった細かい引用をあげつらっても仕方がないが、パロディやオマージュだと言うにもちょっとお粗末な感じに見えてしまうのは残念。

しかしそもそもの話として、ゴジラを抹殺というなら何故ゴジラザウルスをベーリング海への転送だけで済ませたのか等の説明が乏しいのは引っかかる。
「本当に殺した方が早いじゃん」と考えてしまったら終わる話だから、そこの穴は埋めないとなあ。
過去を変えたのに現代の人たちにゴジラの大きさなどの記憶が残っているのは何故とか、SF的な合理性がほとんど考慮されてないことも難点。
つまり過去・現在・未来がすべて同時進行している様な違和感が、タイムトラベル物のSFとして受け入れにくくさせている。
この辺は子供にも分かりやすい話として考慮しての事もあるんだろうけど、SFとしての考証不足やご都合主義としか思えなくなってしまっては本末転倒…。

それでも序盤にゴジラザウルスの調査から未来人と過去に飛ぶまで、人間関係や状況を一気に見せてしまうテンポの良さは良かったんだよね。
アバンタイトルの「キングギドラがゴジラと戦ったというのか」「そうです、20世紀の終わりに」という思わせぶりなセリフは、今観てもいい入りだなとは思う。
怪獣の巨大感や、都庁でのラストバトルも燃えたし。
(メカキングギドラの登場シーンはケレンたっぷりw)
だから子供の時は素直に楽しめたんだろうなあとは思う。

SF的にはチープなところは多いが、ドラマ的には土屋嘉男演じる新堂会長目線で観た時に「戦場で自分を救った恐竜が、ゴジラとなって自分が復興させた日本を叩き壊す」という強烈な皮肉が胸に迫るところはある。
大人になった今では、こういう部分がもっと厚ければ…などと勝手に思ってしまうのでした。
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