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愛人ジュリエットのRのレビュー・感想・評価

愛人ジュリエット(1950年製作の映画)
3.6
しばらくぶりに古い映画見ていこうシリーズ。今回はあまり興味がわかないタイトルの本作を選んでみました。監督さんはかの有名なマルセルカルネ。しかも4Kデジタルリマスター版。ということでそこそこ期待して見たんやけど……んー😐 悪くはないけど、そんなに面白くもなかったなーという印象。大人のためのお伽話みたいな映画だった。ミシェルという青年が、ジュリエットという恋人のために、働いてるお店の金を盗んでしまったということで牢屋に入れられて、ものすごく劣悪な衛生状態の中、左右をうす汚れた犯罪者に挟まれて、うとうと夢の世界へ入っていく。夢の中で彼はまっすぐ村に向かって歩いている。その村では、みんな過去の記憶が一切ない。自分がだれなのかすら誰も知らない。だからみんな他人の記憶を聞いて、それがあたかも自分の記憶であるかのようなふりをしてたりする。カフェの店長は、私にはみんなの記憶がある、あなた方はこんな人たちでしたよ〜とほらを吹いて客を釣り、3年前に書いた思い出の手紙を届ける郵便屋さんが大歓迎され、創作の思い出付きで品々を売る屋台があったりする。林の中でアコーディオン弾きが弾く曲に合わせて、大勢の人々がぴょんぴょん跳ねて踊ってるシーンとか、ファンタジック過ぎてシュールの域。アコーディオン弾きは云う、記憶がないからみんな幸せなんだ。楽しい思い出だってワインと同じで注意して扱わないと変質することがある、嫌な味が残ることがある、と。詩人やな。けど、記憶がないことって幸せなのだろうか。こないだ見たスーパーノヴァという映画で、記憶を失ってしまうことがいかに悲しいことかが描かれてたのとは、真逆の発想。んー。夢のなかで起こるまったく奇妙なお話の映画を見ながら、どっちのほうが幸せだろうかって考えるのは野暮ってもんでしょうが、実際どうなんでしょう。たしかに忘れられないのがつらい、とか、悲しさを忘れるから立ち直れる、とか、そういうのあるけど、こんなに忘れてしまったらただのアホでしかないやん笑 なにも積み上げれない。いやまぁどうせみんな最後には死んでしまうとはいうものの……で、そんな村の中で、主人公のミシェルは恋人のジュリエットを探してるんです。けど、ようやく見つけても、ジュリエットはミシェルのことぜんぜん覚えてないから、認識できない。ミシェルはジュリエットになんとかして思い出させようとするんやけど、まるで、ミシェルがジュリエットに記憶を植えつけてるように見えたり見えなかったり、本人からしたら全然おぼえてないから、わかりようがないもんな。と考えてたら、記憶にまつわるもうひとつの映画、去年マリエンバートで、というのを思い出して、また見たくなってしまった……Blu-ray持ってたの売っちゃったんだよな😓 こういうとき困ります。ま、いいや、ほんで、大きなお城に住んでる自分が何者なのだか分からない偉そうな男が、ジュリエットに惚れてもうて、ミシェルとジュリエットの取り合いになってしまう。時代のギャップとして面白いな、と思ったのが、この時代の女って、記憶がないからというのもあるけど、完全にすっとぼけたお飾りとしての女でしかなく、中身が空っぽの阿呆にしか見えない、だからまったく魅力がない。いや、魅力ないどころか、気持ち悪くさえ見える。この点については、見ていてかなり居心地が悪かったし、この時代を不如意に生きた女たちを思って心が痛んだ。今でも男の視線をベースにして自分の人格や魅力を定義してる女ってそこそこいますけど、本作の時代と比べたらだいぶマシになったのかなーと思ったり、一方で、最近は逆に女の視線によって自分の人格や魅力を定義してる男が激増してきてるので、ほんま大変な世の中だ。もっと自分らしさに生きたほうがいいと思うんやけど。それが自分の生き方ですって人には、それでいいもんなんですかね。おっと、話がそれてしまったけど、本作にてミシェルを演じるのがジェラールフィリップ。アップで見たときの愛らしさがすごい。トロンとした目、両側に生えたキュートな犬歯、えくぼが浮かぶシャープな頬。これは美青年としか言いようがない……が、大学時代にイケメンだった友人の顔にかなり似てて、やっぱ彼はイケメンだったんだなーと再確認。またどうでもいい話をしてしまいましたが、ただ、遠くから見ると、なんかちょっと貧相にも見えるんすよね。もっさりした髪型とデカ目の背広のせいかと思われますが。で、ジュリエット!!!ジュテーーーム!!!みたいなパッションが迸ったりしながら、いったいどんな結末を迎えるんやろ、と思って見てると、かなり意外な展開を見せます。映画全体の流れからすると、えっ⁈ て言うくらい……なんと言うか……いや……ネタバレになるので言わないほうがよいですね。まぁ見てみてください。と言いつつ、そんなにオススメしたい作品でもないです笑 なんて言うか、ほんまにお伽話みたいな感じなので、なんか頑張ってノリを合わせて見てあげる、みたいな感じになってしまいました。映像はなかなか良かったのですがねー。ひさびさなのに全体的に煮え切らない感想文になってしまいました🙇🏻‍♂️
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