レオピン

完全な遊戯のレオピンのレビュー・感想・評価

完全な遊戯(1958年製作の映画)
4.0
旭の表情の変化よ

前半のノリノリから一転の後味悪さ。出だしは軽快で、コンゲームものの面白さがつまっており、一発勝負に賭ける熱気を巧みな編集で見せつけハートは鷲掴みにされた。

さぁここから犯罪映画ならお決まりの仲間割れでも起こすところだが、彼らは金持ち学生。それゆえの未熟な暴走が辿る結末。岡田、柳瀬、武藤の三人 岡田はともかくロクさんよ あんたもか ひどすぎだよ・・・

丘にあがった太陽族なんてやってることはスーフリじゃねえか。こんなのが時代の先端と囃された。いいとこのボンのドぐされがと怒りがこみ上げてくるが、これでも慎太郎原作の何十分の一くらい。原作は狂女という設定。一体なんなんだ なんなんだ慎太郎って。

もはや絶望ベンディングマシンたるいづみちゃんには覚悟はしていたが、やっぱりか
葉山良二の貧乏ヤクザもかわいそうで仕方がない。マジメに働いている(?)のにあれしきの金が用意できない。片や金持ち学生は金の工面にも就職にだって困らない。

途中から鬱になりながらも、かつてよく訪れた吉祥寺の街並みが見れて懐かしかった。たぶんここかなぁ あそこかなぁなどと一々場所を思って見てしまった。ノミ屋があったのは東急デパート周辺かな ガード下 南口出口から降りてくる二人 五日市街道
いづみちゃんと二人で行ったのは後楽園遊園地。仕事終わりに中央線で水道橋か、さすがの若さ。あのコーヒーカップの二人の顔だけが宝だ。

梅野さんのあの俺はやってないんだという開き直り。指揮官のいない所で兵隊たちが何をやるか。まるで戦犯と同じような口ぶりに、ここでも戦争責任が問われていた。

まったく前半部と雰囲気の違うものになってしまった。さんざん悪さを共にしたツレを出し抜いて一人逃げ切るという『トレイン・スポッティング』のような爽快さもなく、旭は電話BOXから自らを断頭台へ送る。トランペットの耳をつんざく音で幕。
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