恥と外聞

ゴジラの恥と外聞のレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
3.5
焼夷弾の火焔で、銃弾や砲弾や放射能で、街が燃え、家屋が砕け散る様を間近でその目に焼き付けた人たちが作った映画。

劇中、おそらく戦後生まれの乳幼児らの姿も見受けられる。

奇しくも当時と同様に、あれから早10年が経とうとしている。
戦争と災害との間に大きな違いはあるにせよ、似通った感情もまた存在しないとも言い切れまい。
あの震災の、被災地の光景を見て覚えている人間もいれば、その後に生まれた子供たちはとうに小学生となり、「震災後」の世界に暮らしている。

「シン」版では為政者側のリアルな人間模様が取り沙汰されたが、どうだろう。
結局全ては責任ある人類の勇気ある決断にかかっていて、本当に大事な目的を見極められなければ、案外破滅的な脅威なんて普段からそこら辺に転がっているのかも知れない。

毎日しっかり考えて、選択を重ねてきているつもりであったとしても、すわ一大事が到来したときに自信をもってオキシジェン・デストロイヤーを起動させる勇気がヒトにあるのか否か。

放っておいても現実にはジェットジャガーは助けに来てくれたりしないんだよね。
ウルトラマンも別に地球人類の代弁者ではないわけで。