滝和也

ガントレットの滝和也のレビュー・感想・評価

ガントレット(1977年製作の映画)
3.7
モニュメントバレー
の如く浮き上がる
ビル群…

西部劇スターである
イーストウッド演じる
うだつの上がらない
刑事が襲い来る罠に
牙を向く!

「ガントレット」

そう、こういうのでいいんだよと言いたくなるようなイーストウッドの魅力溢れる刑事モノ、サスペンスアクション。

フェニックス市警ベン・ショックレーは市警長官からある証人をラスベガスから引き取り護送する様、命じられる。ベガス市警に着いた彼は証人ガス・マレーに会うが女であることにまず驚く。そして彼女の命が掛けの対象になっている事に驚愕する。救急車で偽装し出発するが乗り換えようとした車は爆破され…危険な罠に落ちた事に気づき始める…。

罠に落ちた男と女が危険に会いながらも目的地を目指すと言う設定は西部劇的にありそうな内容であり、オープニングのモニュメントバレー的なビル群のショットからも西部劇から現代劇に移ってきたイーストウッドのオマージュだろう。

ヒロインは気の強い商売女だが、美しく理のある存在。それに対してイーストウッド演じる刑事は冒頭は言い争うが基本紳士的な対応。この辺りもジョン・ウェインの駅馬車に擬えられる。当然二人は恋に落ちるが、最後まで寝ない(笑)それも西部劇的(笑)

彼らを襲う死の罠は兎に角、銃弾の雨あられ。有名なラストのバスを始め、どんだけ撃つんだと言う蜂の巣状態…。西部劇ですわ、これも。無駄に弾をばらまく中2病的な演出が…またイカす(笑)

西部劇的な刑事モノ。現代に蘇るカウボーイ、シェリフ的な発想は師匠であり、盟友であるドン・シーゲルのマンハッタン無宿やダーティハリーに見られ、イーストウッドはそれをこの作品に持ってきてます。特にマンハッタン無宿にある、バイクシーンを更に発展させたヘリによるバイクチェイスシーンは出色の出来。現代の鉄馬であるアメリカンバイクにまたがるイーストウッドの颯爽とした格好良さ。ヒロインを後ろに乗っけてぶっ飛ばすシーンは中盤の見どころですね。

因みにヒロインにはソンドラ・ロック。アウトローで出会ったイーストウッドと恋仲になり、今作のヒロインに。更に見せ場もかなりあるんですよね。頭が良かったりしてイーストウッドを助けちゃう。まぁ、彼女を売り出したいイーストウッドのスケベ心が…ある意味素晴らしい(笑)この後もずっと共演してましたし、一緒にいたかっただけかも(笑)

ただ…この作品ヒロインがまともで目立たないと成立しないんですね。イーストウッドの演じるショックレーはうだつの上がらない刑事でないといけないし、そこからの反撃が肝。ヒロインの手も借りないといけない普通の刑事が絶望的な戦いに挑むのが良いんです。強すぎだとダーティハリーになりますからね。それにその要素はダイ・ハードと同じ。まぁ、イーストウッドがカッコ良すぎるのであまり効いてこないんですが…(笑)

ラストがやや強引な感じはありますが、僕は西部劇的なシンプルな作風も好きですし、イーストウッドのカット割や演出の面白さも後の大監督になる素養が見えるので結構好きです。まぁ、エンタメってこういうのでいいんだよと思う訳です(笑)
滝和也

滝和也