鎌谷ミキ

ぐるりのこと。の鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)
5.0
【人の心の中はわからんのよ。誰にもね】

私の中にはいろんな感情があって、溢れる。
いろんなしがらみの中、もがく。
囚われた気持ちから逃れられない。
自分でもどうしたらいいのかすらわからない。
どうしたら相手に気持ちが通じるのか。
結局ぶつけて後悔してしまう。なんで…
時に受け止められ、気持ちが揺さぶられ。
少しでも前へ。気づいたらずっと先へ。
そっか、いつも貴方がいてくれたんだ。
日本の四季を時折感じながら、いつも。
見ようとしていなかった家族の絆を紐解いて。
私たち、いっつも下ネタ話してたね。
だってみんな露骨に話すんだもの。
それが私たちらしさだよね。
私の"結晶"を二人で見つめ、
これからも、ずっと。きっと、変わらずに…

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本作は偶然にも、結婚した年に映画館で観ました。出演者登壇のイベントにも行きました(リリーさんひょうひょうとしてたなぁ…あのまま)
その時に見えたもの。今だから見えるもの。その時にしか見えないもの。どちらでも見えないもの…本作の奥深さを感じます。あえてその違いを書きません。やっぱり、思い出すのは辛いです…

やっと邦画人間ドラマベスト10をマイ・ベストとして作ろうと思ったら、勿論本作は外せなかった。だけど、見れなかった。やっと観れた。何故なら、とても気軽に観れる作風ではないから。人によっては鬱状態を思い出してしまうかもしれないから。私みたいに。橋口亮輔監督は本作を撮る前、鬱病でした。そう、リアルです…個々のキャストにも触れたいんですけれど、法廷の被告人役の一人、加瀬亮の宮崎勤がスゴいとだけ。最初はそれ目当てだったんだけど、作品自体に惹かれて。

人生の転換期に出会う作品というのがあるとすれば、本作だと思います。やっとわかりました。私も結構ひどかったんだなって。木村多江さんの熱量にはいつも驚かされます。リリー・フランキーさんの対応は、本当に素晴らしいです。こんな旦那さんは現実には滅多にいないでしょう。

私もラストシーンまで辿り着けるかな。辿り着きたい。いつかきっと。
そんな作品です。私の憧れの夫婦の物語。
鎌谷ミキ

鎌谷ミキ