千年女優

十二人の怒れる男の千年女優のレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.0
父親殺害の容疑がかかる少年の裁判において、その立会人として集められた12人の陪審員達。数々の物的証拠や目撃証言から有罪が間違いないと思われる状況に大半の陪審員が有罪を確信する中、ただ一人無罪の可能性を追求しようとする陪審員8番による反証とそれをきっかけにした激しい議論、そして12人が出した答えを描く法廷ドラマです。

シドニー・ルメット監督が密室での法廷ドラマを描いた1959年公開の作品で、その物語の完成度の高さから数々の歴代映画ランキングにも顔を出す法廷ドラマの金字塔として誉れ高く、実質的な主人公である無罪を主張する陪審員8番はアメリカ映画協会が選ぶ『アメリカ映画ヒーローベスト100』にランクインする等後世まで影響を与えました。

同じ法廷劇でも是枝裕和の『三度目の殺人』とは真逆で「観客の見たいものを余す事なく見せる」構成の物語となっていて、ロジカルで建設的な議論を散々重ねた後、しかし最後にはエモーショナルで人間らしいオチで締めるという流れは一流のフルコース料理のような華麗さを感じ、今の時代に見ても唸らされるアメリカ映画らしい一作です。
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