ドント

デビルマンのドントのレビュー・感想・評価

デビルマン(2004年製作の映画)
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04年。再見。原作既読。
全てがあるべき所にあるかのような、奇跡の名作というのがある。ということは、全てがおかしな所にズレているかのような、逆方向に奇跡の駄作もあるのではないか。つまり、これがそれである。
もはや原作との差異云々ではない。ゴリゴリに青すぎる役者たち、おかしな台詞、唐突な展開、ツギハギでギクシャクした流れ、のたくる演出、謎の小道具たち、絶妙な狭さと安さ、ふぬけたラストバトル、ボブサップ……これらがひとつに混ざり生まれた異形の悪魔、それがこの『デビルマン』なのだ。
全部が全部気持ちよいくらいにおかしなことになっており、そのおかしさの集積が何かこう、力みたいなものを生む。それゆえに、本作には見所しかない。この境地に至ればダメさにも価値が生じはじめる。デビルマンのデザインとかブランコのシーンとかちょっぴりいい点があるのがまた心憎い。映画の邪神に魅入られし、ワン&オンリーの危険な作品。
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