ミッキン

男はつらいよ 奮闘篇のミッキンのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 奮闘篇(1971年製作の映画)
3.9
母の日前日。すっかり老いてしまった両親宅で一緒に鑑賞。
寅次郎の母・菊さんを演じるミヤコ蝶々が実にいい。肝心な場面で素直になれず、物別れに終わる母子。我が家もかつては色々あっただけに二人の気持ちは分からなくもない。『親の心子知らず』である。

前半の舞台である富士市や沼津はシーンも少なく旅風情としてはイマイチ。交番のお巡りさん役の犬塚弘にはホッコリしてしまう。この映画でも特に好きなシーンだ。

榊原るみ演じる花子は正直なところ歴代マドンナの中でも魅力は乏しく、最初はお節介から始まる寅次郎の恋心が次第に(一方的に)エスカレートする様はちょっと気持ち悪い。
従業員に肩もみさせるタコ社長は今の時代で考えると確かにヤバいが、盲目的に花子を自分の鳥籠に閉じ込める寅次郎にも白い目を向けてしまう。
やや中弛みな展開を打破するのが田中邦衛。さすが名優、登場するや否なグッと話が引き締まった。
仮に先生が花子を連れ戻さなければ寅次郎の周りの人々は辛い日々が待っていただろう。
そこから後の展開はかなり唐突。
消息不明の寅次郎を探しに青森まで行ってしまうさくら。この時点でギャグだがバスでばったり再会するのはドラマとして如何なものか。まぁ、このシリーズにリアリティを求めてはならない。それを言ったらおしまいだよ、ってヤツだぁね。