ミッキン

戦場のメリークリスマスのミッキンのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
4.1
撮り溜めてたNHKの『世界サブカルチャー史 欲望の系譜 シーズン3』を観てたらこの映画がほんの少し紹介されていた。
調べたらU-NEXTにあったので即視聴。

公開当時はまだ小学生だったからカンヌもデビッド・ボウイも大島渚も知らなかった。
あの頃はビートたけしがちゃんとした演技をやるなんて思ってもおらず『ひょうきん族』でパロディーもやってたからコメディー的な作品かと勘違いしてたかも。

その後も鑑賞する機会はなく、デビッド・ボウイや坂本龍一の追悼番組でラストシーンがこの作品のメインかのように紹介されてたので冒頭でハラ軍曹がロレンスを殴りつけるシーンで混乱した。
途中、酔っ払って「ファーザークリスマス」と言ってたシーンも丸坊主ではないし、ミスターもつけてないので更に謎。
そんな助走があったから『4年後』のテロップが出た瞬間に身震いしてしまった。
立場は一気に逆転。敗戦国となり戦犯として処刑されることになったハラの元にかつての捕虜だったロレンスが別れを告げに駆けつける。
頑なに日本語をぶつけていたハラが英語ではにかみながらロレンスに低姿勢で思い出話をする。そこに詫びの言葉はない。切り出すのはロレンスだ。
戦争に翻弄された二人。かつての主従関係は崩れても尚、敬意をみせるロレンス。そりゃラストの台詞で泣いてしまうやわな。

それは坂本龍一とデビッド・ボウイの関係性も同じ。に、してもミュージシャンのこの二人をよく主演で起用したなと40年近く経った今でも驚く。
特にボウイは演技めちゃ上手い。Wikipediaによるとロバート・レッドフォードやニコラス・ケイジも候補に挙がっていたとか。沢田研二のヨノイ大尉、緒形拳のハラ軍曹というキャスティング案もあったらしいけど多分普通の映画になってたかもね。

そうそう、wikiには照明スタッフ失踪事件とか凄い裏話がたくさん書いてあってどんな撮影現場だったのか凄く気になる。
ボウイがメイキング撮影拒んだとかでオフのカメラが回ってないのが残念。

あと2週間でクリスマス。今年はしんみりと教授のこのテーマ曲流しながら酒でもかっくらおう。