マヒロ

道のマヒロのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.5
小学生の男の子並みに不器用な旅芸人のザンパノと、ちょっとトロい女性ジェルソミーナの奇妙な旅を描いた映画。

旅芸人といっても、ザンパノができるのは身体に巻きつけた鎖をフンヌーと引き千切る芸のみで、ジェルソミーナに与えられた役目も隣で太鼓を楽しそうに叩くだけというとても一丁前の芸人とは言い難いレベル。そんな二人が何とか小銭を稼ぎながら、旅の道中で次第に心を通わせて行く……とはならないのが切ないところ。

ザンパノは粗野でどうしようもない人間に見えるけど、ジェルソミーナがあまり教育を受けられなかったように(多分)、彼は愛情を受けることなく育った人間で、ジェルソミーナの純粋な好意にも上手く応えること方法が分からなかっただけのように思える。
つまりあの悲劇極まるラストは誰が悪いと言い切れるものでもなくて、美しいテーマ曲も合間って余計に切ない。後悔してからでは遅いのだ。

(2016.69)
マヒロ

マヒロ