タスマニア

紅の豚のタスマニアのレビュー・感想・評価

紅の豚(1992年製作の映画)
4.5
2022年9本目。

愛おしい映画だ。
アドリア海の飛行艇乗り達が気持ちのいい男達であるように、この映画自体もすごく気持ちのいい映画だなぁ。

この映画自体も割と久しぶりに見たけど、こんなに心に染み入るような映画だったとは。
幼い頃も「キャッキャッ」言いながらこの映画を楽しんでいたんだろうけど、年齢を重ねる度に違う目線や観点に心が動かされる。
普遍的に日本人の心に寄り添うジブリの力を見せつけられた気がする笑

とにかく、キャラクターもセリフも粋。
何気ない会話なのに言葉の言い回し一つでこんなにもアドリアの風景や街並みに溶け込んだ粋なものになるんだなぁ。
かと思いきや、空の上でのハンドサインや目線だけの会話、そして、敢えて言葉にしない、という奥ゆかしさ。
おしゃれさや粋さを突き詰めるとヒーリングになるんだな笑

だからこそ、「ポルコはなんで豚になったんだろう?」や「ジーナの最後の賭けはどうなったんだろう?」を知ろうとすることは野暮なんだってスッと飲み込めた。
「うん、これそういう映画じゃない気がするんだよ」っていう気持ちになる。

そして、極め付けに "すごい" と思う点は、こんなに粋なキャラクター達なのに同時にめちゃ可愛いんだよな笑
いや、フィオが可愛いのは分かるよ!?だって若い健気な女の子だもん。
ジーナさんが綺麗なのは分かるよ!?待つ女だもん。
なのに、ポルコもカーチスもマンマユート団の面々もみんな可愛いんだよ。
それがすごい。
終盤のシーケンスはもはやずっと腹抱えて笑った。
何回も見てるのに、ここに来て「こんなに笑えるシーンなんだ」という理解に辿り着いた自分に驚いた。

最後に「時には昔の話を」を聞くとすごく時間的・空間的に遠いところまで来てしまった感覚が呼び起こされて、少し泣きそうになる。
そんな緩急含めて、なんて愛おしい映画だ。

声優も良いしなぁ。
岡村明美はこれがデビュー作らしい。なんて素敵な声だ。
大塚明夫は声が若くて嬉しくなる。それでも相変わらずイケボすぎる。

ジブリ No.1 は?と聞かれた時、いつも迷いながら「風の谷のナウシカ」と答えてきたけど、今後は更に迷うことになりそう笑
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