あなぐらむ

黄線地帯(イエローライン)のあなぐらむのレビュー・感想・評価

4.0
新東宝のラインシリーズとしては第三作目。本作のみカラー(新東宝スコープ)。黄線地帯、即ちアジア人女性売春シンジケートを指し、組織に裏切られた殺し屋・天知茂が、東京から神戸・三宮のカスバ(新東宝お馴染みの窮屈な建込セットが見事)へ復讐に向かう。

道連れの三原葉子が変わらずウィットとジョン・マクレーンなみの機転を利かせ大変キュート。
僅か79分の物語は小道具を巧みに使いながら進み、事件を追う吉田輝雄の記者とその恋人、三原葉子と殺し屋・天知との疑似三角関係の様相を呈す。
不幸な生い立ちの天知と対照的な戦後を謳歌する若いカップルの姿に、戦争と貧困の影を見る。天知茂の死は、戦後という時間の清算でもあろう。
神戸・三宮も一大売春地帯であったが、本作は外景は横浜ロケでカバー。カスバの女で扇町京子も登場。