Kamiyo

獣の戯れのKamiyoのレビュー・感想・評価

獣の戯れ(1964年製作の映画)
3.0
1964年 ”獣の戯れ” 監督富本壮吉
脚色 舟橋和郎   原作三島由紀夫

冒頭に懲役3年の刑を終え、梅宮幸二(伊藤孝雄)は船で、伊豆にある草門優子(若尾文子)の別荘に向かっている。回想シーンに移り、ここまでのいきさつが描かれる

「獣の戯れ」は、陶器店でバイトとして働く学生・梅宮幸二が、美しい社長夫人草門優子に惹かれる一方、そんな夫人がいながら女遊びをやめない夫の社長草門逸平(河津清三郎)に憤慨して逸平を刺すという事件を起こした
あと刑期を終えて出所し、優子に招かれるまま、逸平の別荘にゆくと、逸平は脳障害を起こして小児化しており、優子はそんな夫の前で堂々と幸二を誘惑するものの、幸二は時折見せる逸平の冷静そうな視線が気になり、咄嗟に逸平を殺してしまう
結果は幸二は死刑となり、優子は無期懲役で刑務所に入り
一度殺しかけた人物を再び襲って殺した人物に、果たして死刑判決が下されるだろうかという疑問はありますし、その場に一緒にいたからといって、優子にも無期懲役が科されるとも思えずラストの展開が納得できませんでした

三島由紀夫原作のいちおう文芸映画ということになるのだけど、やはり小説の映画化は難しい。とくに三島のような文体にそのすべてがあるような作品においては。それを映像化が難しかったのか⁇

若尾文子の美しさがこの映画の魅力で、内心何を考えているのか心の底を窺い知れない女性に、若い男が虜になっていく。とらえどころのない優子という女の怖さを映画は見え隠れさせているように思う。そういう女を演じるには若尾ほど適役はそういないと思う。

優子が実際どういう意図で行動しているのか、幸二は優子を本当に愛しているのか、無駄死にではなかったのか、など観終わった後に疑問が残る。
良く言えば「余韻が残って考えさせられるかな?                                  
悪く言えば「中途半端な描写」である。

三島が原作とのことだが・・・
良かったとも、悪かったともいえない作品であった。
 若尾文子が主演の作品では、下位の部類。
 増村が監督すれば、もう少し何とかなったろう。
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