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虹の女神 Rainbow Songのsingerのレビュー・感想・評価

虹の女神 Rainbow Song(2006年製作の映画)
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久々に観返してみて、なんかやっぱり、市原隼人と上野樹里の関係が、
とてもいい雰囲気で、今思うとちょっと羨ましかったりもして。

こういう関係って、最後にどうなるかで、お互いの結末は全然違ったものになるんだろうけど、
そこに至る過程での、この二人の距離感っていうのは、
なんか自分もかつて味わった事があって、
その時は苦々しいこともあるんだけど、通り過ぎてみると、
とてもいい想いを持ってたんだなぁと。
そんな若かりし頃の自分と彼女の事を、少し思い出させてくれるような作品ですね。

結婚して、子供が産まれて、家族の中で過ごすというのも、
自分にとってはとても有意義なものだとは思っているけど、
時々、こういう恋のようで、恋ではないような、
お互いの想いが、天秤のようにあっち、こっちに揺れて、
時に胸がいっぱいになるような、
そんな気持ちに切なくなったりしながら、
ドキドキしたいもんだなぁとか。

いい恋愛映画を観ると、やっぱりいい恋愛をしたくなりますね。
そして、いい恋愛をしてた頃の事を、少し思い出したりしてしまいます。

以下は、2007年の11月にブログに投稿したレビューです。
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岩井俊二プロデュースです。
彼の手掛ける作品のタッチは何となく女性的な感覚がします。
なので、結構男性から見るとキナ臭くて白けてしまうようなシーンとかもあって、
好んで見るタイプの人ではないんですけど、この作品は良かったですね。

上野樹里の演技がとても良かった。
女性らしさより自分らしさに生きる主人公の繊細な心境が上手く演じられてたと思いました。
時々ハッとするくらい綺麗な眼をしたり、フッと表情が曇ったり、泣いたり、怒ったり。
喜怒哀楽の表現がしっかり出来てるなぁと関心しました。
しかも、それがとても自然な感じで出来る所が凄い。
いい女優さんだなと思いました。

後は脚本が良かったですね。
特にセリフがテンポが良くて、自然な感じがしました。
それでいて、無駄セリフが無い所も観ていて飽きなかったですね。
智也とあおいのセリフの掛け合いが特に良かった。
これは、主演の二人の演技のおかげでもあるのかなと思います。

大袈裟じゃなくて、何気ない。
凄く自然な流れで綴られていく物語も、印象的でした。
冒頭であおいの死が語られる所も、個人的には良い演出だと思いましたね。
そこから過去に遡って行くことで、あおいのキャラクターや、思いが語られて行くわけですが、
もし時系列にストーリーを組み立てていたら、単なる悲しい物語に終わっていたかも。

クライマックスは感動する部分もありますが、仰々しさは無くて、
僕は微笑ましく、爽やかな印象さえも受けました。
作品全体のトーンが、そういう方向で色づいてたからなのかも知れません。

劇場でも大きな話題にならなかっただけに、色んな人にお薦めしたい気分になる映画でした。
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