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ウィッカーマンのshinoのレビュー・感想・評価

ウィッカーマン(1973年製作の映画)
3.6
爆発的に流行ったミッドサマーに影響を与えたとされる1作。熱心なキリスト教信者の警察官が行方不明になった少女を見つけるべく、とある離島へ捜査へ向かう。
これはいわゆるカルト宗教に巻き込まれる系のホラー映画なんですけど、めちゃくちゃ面白いなと思うのはマジョリティ側だった人間のマイノリティへの転換の描写かなと思います。
マジョリティの人間がある日突然マイノリティ側へ転換した瞬間、マイノリティが何度も突きつけられている「何言ってんねやコイツ…」みたいな目で見られてしまう。けどマジョリティは自分がずっとマジョリティであったから「俺は正しい」「間違ってるのはお前らだ」と主張してしまう。
この映画観てもちろんミッドサマーも思い出したけど、遠藤周作(スコセッシの映画)の「沈黙」を思い出しちゃったな。あれも自分がマジョリティだと思っていたキリスト教信者が、キリスト教を教えてやるといって日本へ来たのに、キリスト教徒(キリシタン)でさえも神の概念がキリスト教の教えと根本的に違うとの描写があって、まさにそれなんだろうなと。
自分の中の常識が他人の中で常識だと考えない方がいいよね。自分がマジョリティだと思い込むのもまた同義。

とかなんかこざかしい事書いたけど話もめちゃくちゃ面白かったです。ミュージカル映画か?ってくらい歌が差し込まれるんですが、その歌がまあ頭に残る頭に残る。淡々とした話の進み方なのに、ところどころに不穏な描写があり、なるほどミッドサマーに影響を与えたという話も納得の1作です。
わたしほんとホラー映画ってデカい音ドーン!!!!お化けがいきなりバーーン!!!!!みたいな心臓に労わりも何もない現代医療に歯向かう描写がクソほど嫌いなだけで、ホラー自体は好きなんだなって思った1作です。
驚く描写が苦手だけどホラーは見たい、って人にはおすすめの宗教ホラー(人間が怖い系)だと思います。

全然関係ないんですけどビョーンビョーンみたいな楽器、なり始めがあまりにもど根性ガエルすぎてやばいだろ。ぴょこーん!ぺたーん!ぴったんこ!って頭の中で流れたよ。みんなも聞いて頭の中でど根性ガエル生み出して。ぴょこーん!ぺたーん!ぴったんこ!ぴょこーん!ぺたーん!ぴったんこ!
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