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ヒロシマ・ナガサキ ダウンロードのwigglingのレビュー・感想・評価

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戦後アメリカに移住した被爆者の記憶(メモリー)を自らの体で受けとる(ダウンロード)ため、カナダからアメリカ西海岸を縦断した若者のドキュメンタリー映画にしてロードムービー。
被爆70年を機に、これからどうやってあの体験を受け継いでいくのか様々な試みがなされているが、本作はとりわけユニークかつ貴重。

旅の途中で宿泊したホスト家の奥さんが偶然にもホロコーストの生き残りだった。腕に入れ墨でナンバリングされている。彼女の言葉が撮影の困難さを表していた。「味わった地獄は決して記憶から消えない。時折現れては激しい苦痛を与える。それに触れるからには細心の注意をもってあたるように。」

当時の敵国に居るという事もあり、被爆の記憶を語る機会はほとんどなかったはず。証言者からは60年以上抑えてきた感情があふれ出す。
ひとりの男性が語り終えた後に何度も何度も「ありがとう」を繰り返す。語る事で癒えるというのもあるだろうが、何年後かには自分の記憶が受け継がれる事もなく消えてしまうという不安から解き放たれた事もあるだろう。

次の10年を待たずに多くの被爆の記憶が消えていきます。自分が出来ることを今すぐに行う事がとても大切。
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