YCAMシネマの藤田敏八特集にて。アメリカン・ニューシネマの色濃い影響がうかがえる1973年の作品です。
行くあてのない三人の男女の無軌道な漂流を描いた青春映画。社会に背を向け、社会からも黙殺される彼らが行き着いたのは狂言誘拐。
つまらないミスでそれも失敗し、馬鹿馬鹿しくも壮絶な死を遂げる。『明日に向かって撃て』『俺たちに明日はない』を彷彿とさせる。
金や権力を嫌悪し、大人になることを拒否しつつも、結局何者にもなれない。そんな青春期のジレンマが瑞々しく描かれていますね。
全編がフォークソングで彩られているのにも懐かしさを覚えます。原田芳雄が歌う「愛情砂漠」がとにかく素晴らしくて。
上半身裸で登場し、惜しげも無く裸体を晒す桃井かおりの男前っぷりに惚れ惚れ。