創

12人の優しい日本人の創のネタバレレビュー・内容・結末

12人の優しい日本人(1991年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

YouTube、観ました。
舞台も、いくつか観ました。
本家の白黒映画も観ました。
そして、この映画も、何度か観ています。

なんで密室で話し合いするだけのお話が、国や色や時代を越えて、媒体を越えて、こんなに面白いのか。

順番的には、本家を観てからの方がより楽しいと思う。

もし、日本に陪審員制度があったら、
陪審員にはどんな人が選ばれ、どんな風に話し合い、どんな風に評決に至るのか。

男が国道でトラックに轢かれて死んだ。
男を突き飛ばした罪に問われた男の元妻。

元妻は無罪でしょうか、有罪でしょうか。

全会一致で元妻の無罪が決まりかけた時、
ひとりの男が地獄の一言を放つ。

「話し合いましょう!人が死んでいるんです!もっと話し合いましょう!」

話し合いを始めてみると、12人それぞれの個性がすごい。個性がうるさい。
なんとなく無罪、人殺しには見えないから無罪、みんなが無罪にしてるから無罪…。
みんな、そういう人居そう、そう思うのも分かる、感がすごい。

最初に喫茶店の出前を取るところからすごい。
全然メニュー決まらないし、みんな勝手なこと言うし。
ここである程度、あ。コイツこのタイプか、コイツはあのタイプか。みたいなのが分かりやすい。

そういう個性的な12人がひたすら、元妻は無罪なのか、有罪なのか、
その根拠は何か、証人の証言はおかしくないか、そもそも証人は信用できるのか、
現場の状況は何を示すのか、この事実は何を示すのか、あの事実は何を示すのか、
ずーっと同じ部屋で、ずーっと同じ12人で、ひたすら話し合うだけのお話がなんでこんなに面白いのか。


優しい…は、容姿の良い女性が本当は有罪なのではないかを話し合う。

怒れる…は、黒人の少年が本当は無罪なのではないかを話し合う。

この違いが、今の時代に、大人になった目で観ると、それぞれの過程と結末に明確な苦味を残す。
創