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タクシードライバーのtetsuのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.0
『イコライザー』を観た後、似た設定の作品ということで復習がてら鑑賞していたものの、マークをし忘れていたので『ジョーカー』に合わせて投稿!!

タクシードライバーの仕事を始めたベトナム戦争の帰還兵・トラビス。
日々、募っていく社会への不満は、次第に彼を"ある行動"へと動かしていく...。

今、改めて見ると、確かに『ジョーカー』に通ずる部分も感じた本作。
反体制的な主人公が悲劇的な結末を迎える"アメリカン・ニューシネマ"の一つということで、かなり覚悟をして観ていたのですが、意外な結末には、良い意味で裏切られた作品でした!

と、折角なので、『イコライザー』の時と同様、主人公×少女×悪役が印象的だったので、代表的な人物を3種類に分けて書いていこうと思います。

①主人公
トラビス(ロバート・デニーロ)
"ある出来事"をきっかけに、社会への憎しみを増加させる主人公。
その"きっかけ"が、あまりにも個人的過ぎるゆえに、落ち着いて考えると、ただのヤバいストーカー男なんですが、少しずつ、可哀想に見えてきたり、カッコよく見えてきたりしてしまうのは、やはり、名優・デニーロさんが持つ不思議な魅力ゆえだったのかもしれません。
また、貧困層で生きるゆえに産まれる富裕層への憎悪や、拳銃を手に入れたことで変貌していく主人公という描写には、確かに『ジョーカー』の原点がありましたね...。

②少女
アイリス(ジョディ・フォスター)
小さい頃に『パニックルーム』や『フライトプラン』といった作品を観ていたため、肝っ玉母ちゃんとしてのイメージが強かったジョディ・フォスターさんですが、本作を見て衝撃...!
こんな時代があったなんて、少なくとも、あの作品群からは想像できませんでしたよ。笑
とはいえ、色々と調べてみると、本作が発端となり、かなり辛い思いをしていたんですね...。
彼女が強い女性のアイコンとして現在も女優を続けていることが本当に救いですが、彼女の人生をも変えてしまった本作の存在には恐ろしさも感じました。

③悪役
スポーツ(ハーヴェイ・カイテル)
パランタイン(レオナルド・ハリス)
本作における本当の悪役は間違いなく"社会"なんですが、一応、二人に絞ってみました。笑
アイリスを娼婦として利用するスポーツを演じたのは、ハーヴェイ・カイテルさん。『テルマ&ルイーズ』や『パルプ・フィクション』にも出演した名優で、今回は登場シーンはわずかながらも確かな存在感を放っていました。
主人公に逆恨みされるwパランタイン上院議員を務めたのは、レオナルド・ハリスさん。彼を調べてみると出演作が本作を含めて、まさかの2作品という...。笑
どうやら、彼は批評家でもあったようで、そう考えると、主人公が憎むことになる富裕層の人間代表という意味では、ピッタリの人選だったのかもしれません...。


今年のアカデミー賞でも『アイリッシュマン』でノミネートされたデニーロ×スコセッシコンビ初期の傑作。
予想以上のテンポの良さに、つい目が離せなくなるので、『ジョーカー』にハマった若い人は必見の一作でした!

参考
ジョディ・フォスターを振り向かせるために大統領を撃った男の最後のラブレター|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5557.php
(人生を狂わせてしまう映画って、一体、何なんでしょうね...。)
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