Omizu

ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディのOmizuのレビュー・感想・評価

3.4
【第15回アカデミー賞 主演男優賞他全3部門受賞】
ギャング映画で知られるジェームズ・ギャグニーが「ブロードウェイの父」とも言われるジョージ・M・コーハンを演じた伝記映画。監督は『カサブランカ』『汚れた顔の天使』のマイケル・カーティス、アカデミー賞では作品賞を含む8部門にノミネートされ主演男優賞、録音賞、ミュージカル音楽賞を受賞した。

ジェームズ・ギャグニーはボードヴィル出身であることを生かして身軽なダンスと歌を披露している。当初はフレッド・アステアにオファーされていたというが、結果的にこのキャスティングで正解だった気がする。

愛国心高揚映画という面もあり、この年作品賞の『ミニヴァー夫人』や同じ監督の『カサブランカ』にも似たテイストは感じる。

ミュージカル映画かと思っていたんだが、劇中劇としてミュージカルシーンが多いだけでいきなり歌いだしたりするわけではない。

キャスト陣は頑張っていると思うがいかんせんジェームズ・ギャグニーの顔が強すぎて他のキャスト、特に女優陣は印象が薄い。

演出も悪いというわけではなく、むしろこの題材を上手く扱い、かつ撮影中に勃発した太平洋戦争というのを盛り込んで過不足なく映画として成立させている。

のだが、いかんせん緩急がなく、キャラクターに深みがない。(これは『カサブランカ』でも思ったこと)

大女優のフェイやライバルのおじさん(名前も覚えてない)もただ出しただけで特に何か起こるわけでもないのが中途半端というか何というか。

愛国的なのはいいと思うがここまで露骨だとね…

悪くはないしミュージカルシーンは素晴らしい。アメリカ人の「古き良き」心を感じたい人にはオススメかな。
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