ゆうすけ

ターミネーター2のゆうすけのネタバレレビュー・内容・結末

ターミネーター2(1991年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

言わずと知れた名作。「ニュー・フェイト」を観るために、復習するため鑑賞しました。前作とは比べものにならない製作費で作られた本作(前作:640万ドル、本作:1億200万ドル)。1よりも2の方が売れたシリーズ作品は珍しいんじゃないでしょうか。

何故、本作が名作として名高いかを考えると、その理由は正に脚本にあると思います。主に以下の3点において、この脚本が素晴らしいのです。

①ジョン・コナーの登場
前作では「レジスタンスのリーダー」という役割を担う彼が、伝説的に語られていました。さらにサラの息子です。気にならない人はいないでしょう。ファンは、ジョンの想像をパンパンに膨らませて本作に臨みました。すると、そこにはファンの期待を裏切らない雰囲気のある美少年が映っている。そして、母を命辛々助けたり、T−800に人を殺さないよう命令するなど、女性ファンの母性をくすぐり、人に優しい理想的な美少年が映っているんです。
②「未来を変える」という明確な目的
前作では、殺人ロボットの追跡から逃れ、最終的に返り討ちをするという流れでした。3以降のターミネーターシリーズも基本的にこの構図になっていますが、本作ではただ逃げるだけでなく、未来を変えるという目標を設定し、達成します。これが、他のターミネーター作品と一味違うところですね。
③T−800が味方に
今でこそ、本作は有名でT-800が味方として登場することは周知の事実ですが、当時劇場で何も知らずに観たファンは、さぞかし驚き、興奮したでしょう。記憶を消して、もう一度観たいとさえ思います。個体は違うものの、前作では敵だったT-800が味方として登場するわけですからね。そして新たな敵ターミネーターT−1000が現れ、人間VSターミネーターだったのが、ターミネーターVSターミネーターが描けるわけです。

3要素からは外しましたが、T−1000という存在も良いですよね。液体金属でできた体を持ち、明かに旧型であるT−800の上位互換。そんなT−1000に勝てるのかというハラハラドキドキ感がたまらないです。

サラ・コナーが引き締まり、筋肉質になって再登場するのも熱いですね。前作では守られる側として登場し、ただの女性だったわけです。しかし、リースに告げられた未来では自分がジョンをレジスタンスのリーダーに育てあげる存在になる。その使命感と責任感で、彼女は精神病棟に入れられながらも鍛え続けたんですね。すごい胆力です。そして、前作と本作で一気に雰囲気を変えた役作りをするリンダ・ハミルトンは演者として素晴らしい。

T−800が製鉄所の鉄鋼炉にサムズアップで沈んでいくという有名なシーンがあります。非常にキャッチーで覚えやすいシーンですが、そもそもこのサムズアップにはすごく重要な意味があると私は思っています。それは、つまり「人間の心を学んだ」ということを象徴するシーンだと思うからです。
T-800は当然のことながらAIが搭載された機械なので、無意味なことやプログラミングされていないこと、学習していないこと、そしてジョンに命令されていない行動は出来ません。それは、サムズアップだって同じことです。何故なら、往々にして親指を立てる行為は、相手を応援する意味や喜びの意味、いいねなど、肯定的な意味合いで用いられますが、その行動の発露は感情にあります。サムズアップ自体に何ら合理性のある効果はありませんから。であるならば、T−800がサムズアップは絶対にしないはずなんです。にも関わらず、彼が親指を立てたのは明かに彼が人間に近づいていたからなんです。落ちる前、ジョンに「涙を流す感情がわかった気がする」というようなことを言っていますが、それが決して嘘ではなかったことが、このシーンでわかり、且つ彼が壊れるという事実を、より一層受け入れ難くなり、観客の涙を誘ってしまうのです。
となれば、一定の基準を満たせば、それが機械やAIであっても、どこかで人間性を見出すことができるというわけです。もしかしたら、その
未来は決して遠くないのかもしれません。
ゆうすけ

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