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潜水服は蝶の夢を見るのろのレビュー・感想・評価

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)
4.5

「失敗とは無縁の人生だったが、初めて救いのない苦悩を知る」

毎日寒い日が続きますね~。
みなさん、いかがお過ごしですか(^^)?

今朝起きて、カーテンを開けると一面の雪景色!
ついに大阪でも雪が降ったな!と驚きました。


さて、今回は『潜水服は蝶の夢を見る』。
”潜水服=麻痺して動かない体”に閉じ込められる”閉じ込め症候群”になった主人公。彼が”蝶=自由”を夢見る、というストーリーです。

主演のマチューさん、私の中では『007慰めの報酬』のラストで砂漠に置いてけぼりにされた人や!というイメージ・・・(笑)でも今作はめちゃくちゃ素敵な映画!最後の方で『大人は判ってくれない』の音楽が鳴り始め、フランスの観光地が映る場面は感動しましたよ~。


「僕の人生は小さな失敗の連続だったように思える。愛せなかった女たち。つかめなかったチャンス。逃してしまった幸福」
氷山が崩れるようにガラガラと音を立てて落ちていく人生。
光が見えなくなっていく恐怖と息苦しさ。
ジャンドーは右目を縫われたことで、さらにふさぎ込んでしまいます。

しかし、彼は掌からこぼれ落ちそうになる小さな希望を見失わなかった。
「僕はもう、自分を憐れむのをやめた」

彼には左目の他に麻痺していないものが2つあった。
それは想像力と記憶。
その2つのチカラで彼は”潜水服”から抜け出した。
「想像力は無限に広がる。幼い日の夢を叶え、大人の憧れを実現し、なりたかった自分になれる」
ある時はディナーを想像する。
豪華なレストランで、カキやエビを食す。ウェイターが次々と料理を運んでくる・・・。

「父の日。唇から流れるヨダレを息子が拭く。かつてはこんな祭日など鬱陶しかった」
家族と過ごす休日。
2人の娘が海辺ではしゃぐ。
息子は父の顔をそっと拭き、涙する。
子どもたちと妻がキャッチボールをしている。それを横目で見ているジャンドーはどことなく嬉しそう。
「この悲しみを表す言葉はない。僕は父親なのに子どもたちの髪をなでたり、うなじに触れたり、小さな体を抱きしめることもできない。でも姿を見るだけで幸せだ。笑い声を聞くだけで・・・素晴らしい1日だ」

ジャンドーのお父さんからの電話。
「わしらは2人ともロックトインシンドロームだ。お前は自分の肉体に閉じ込められ、わしはアパートに・・・」
しかし病気は精神の自由まで奪うことは出来ない。

「僕の人生はここにある。永遠の繰り返し」
ジャンドーはまばたきで言葉を伝える方法を学ぶ。
そして自伝を書くことにする。
溢れ出す言葉を紡ぎ、自分自身を書き留めたのだ。
ジャンドーはまさに「いま、ここ」を真剣に生きていた。

可能性は無限大。

「あなたの中に残された“人間性”にしがみつけば、生き抜ける」
ろ