グリフィン

トラ・トラ・トラ!のグリフィンのレビュー・感想・評価

トラ・トラ・トラ!(1970年製作の映画)
3.3
初見。字幕。
太平洋戦争における真珠湾攻撃を日米双方の視点で描く。とんでもねースケールと迫力が見どころ、表と裏の面で。

日本側の視点は元々は黒澤明監督が務める予定であったが紆余曲折あって降板したことで有名でもある作品。その話はさらっと概要だけは知っていたがWikipedia見てみたらこれほどまで複雑な問題が山積みしたうえでの降板だとは全然知らなかった。お互いにプロだからこその考え方やプライドがあり、譲りきれずどうしてもその歪みを解消することができなかった。映画を愛する気持ちは一緒のはずなのに・・・スケールが大きすぎる弊害とも言えるかもしれない。
黒澤監督にとっては満を持してのハリウッド進出。もし仮に最後まで監督を務めあげていたらどうなっていたのだろう。黒澤明リスペクトの自分としては当然黒澤監督にやり遂げて欲しかったという想いは当然ある。だがそのために妥協の道を選ぶことはしてほしくない想いもあるし・・・
とにかく複雑!!

そんな裏側のスケールもさることながら本編、特に真珠湾攻撃戦闘シーンは凄まじい迫力です。軍の協力のもとで作られてるだけあってそのスケールの大きさが画面からひしひしと伝わってくる。ここまでくるとただただ感心してしまうに至りますね。巨大空母にたくさんの戦闘機、そして爆撃の連続。必見です。

ただそこに行きつくまでのテンポがあまりよろしくない。事象を単純に積み重ねてるだけで緊張感がないんだよなあ。たとえ戦闘シーンでなくても緊張感や山場を作り出せないと映画としての魅力は半減してしまうと思う。

もっとやりようがあったのでは。もし黒澤監督の演出だったら別の景色が見えていたのでは。ますますそんな気持ちがこみ上げてしまったのであります。
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