中国の巨匠 ジャ・ジャンクー監督作品
2006年度ヴェネチア映画祭の金獅子賞受賞作
三峡ダム建設により水の底に沈むことになった街を舞台に、離別した妻子に会うために１６年振りに街を訪れた男と、２年間音沙汰のない夫を探して彷徨う女のそれぞれの物語を描く
やはりかなり独特ですが、心地良い映像世界へと誘われていく素晴らしい映画だった
素朴な風景ではあるものの、ひとつひとつのショットは格別で、不透明な美しさが際立つ
感情を全く露わにしない役者さんたちの演技で、哀愁漂い静かで淡々としすぎているくらいの起伏のなさでも、効果的に作用する長回しの中でゆっくりと着実に動いていく物語
そして残るのは不思議な虚無感
皆が孤独や苦悩を抱えながらの、色褪せていく淀んだ町のリアルな空気感と生活感
中国の歌も印象深い
ドラマチックな事などは一切なければ娯楽性も皆無なので、決して見やすい作品といえる映画ではありませんが、ジャ・ジャンクー監督の恐ろしい才能をこれでもかと痛感させられる見事な叙情詩でした
〈 Rotten Tomatoes 🍅91% 🍿80% 〉
〈 IMDb 7.3 / Metascore 81 / Letterboxd 3.9 〉
2021 自宅鑑賞 No.406 GEO
